業界ウォッチ 2018年5月14日

教員のちょっと気になる「こどもの数」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「こどもの数」を取り上げてご紹介いたします。

5月5日は「こどもの日」でした。総務省では「こどもの日」にちなんで、5月4日に「我が国の子供の数」という統計トピックスを発表しています。それによると、今年(2018年)のこどもの数(15歳未満人口)は、1553万人(4月1日現在の推計値)で、37年連続の減少ということでした。こどもの割合は、12.3%でこちらは44年連続の低下となっています。

それでは、こどもの数の減少度合いがどの程度なのか、他の生産年齢(15-64歳)人口、高齢者(65歳)人口の長期トレンドと比べてどのようになっているのか、数字で確認してみたいと思います。長期トレンドとして1950年から最新の2018年4月1日時点の数字で確認してみます。

まず「こどもの数」を見ると1950年は2943万人で、1954年に2989万人とピークとなり、以降1967年の2442万人まで減少します。そこから第二次ベビーブームによって1978年の2771万人まで増加しますが、そこから増減横ばいし、1981年以降は減少トレンドに入り、2018年の1553万人まで37年連続での減少となっています。

生産年齢人口は、1950年の4966万人から1995年の8726万人まで一貫して増加し、以降は減少トレンドに入り、2018年は7562万人となっています。

高齢者人口として65歳以上の人口トレンドを見ると、1950年の375万人から2018年の3538万人まで一貫して増加しています。1997年には1976万人と、「こどもの数」(同1937万人)を超えています。

さらに、後期高齢者に該当する75歳以上人口のトレンドを見ると、1950年の106万人から2018年の1776万人まで、65歳以上人口と同様に一貫して増加しています。また2015年には1632万人と、「こどもの数」(同1595万人)を超えています。

年齢区分別の構成比をみても、「こども」の割合はほぼ一貫して減少トレンドにあり、1950年は「こども」の割合が35.4%と人口の1/3を占めていましたが、2018年には12.3%にまで落ち込んでいます。この割合は、世界の中でも最も低い比率だそうです(総務省調べ)。

一方、高齢者(65歳以上)の割合は増加トレンドとなっています。1950年には65歳以上の割合が4.94%と5%にも達していませんでしたが、2018年には28.0%と3割近くに達しています。しかも、2018年に初めて「75歳以上」人口比が14%と、「65-74歳」人口比の13.9%を上回りました。

このように、時々見かける数字・グラフではありますが、改めて確認してみると、「こども」の減少と「高齢者」の増加の勢いがますます顕著になっていることが分かります。しかも、65歳以上の割合が大きくなりすぎて、75歳以上の人口トレンドも把握しておかないといけない状況となっており、その「75歳以上人口」が、「こどもの数」を上回っている状態になっていることをよく理解しておく必要がありそうです。

未来を担う「こども」がいかに貴重であるか、「こどもの日」に限らず、これからも考えていく必要がありそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)