業界ウォッチ 2018年5月21日

教員のちょっと気になる「フリマアプリの市場規模」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「フリマアプリの市場規模」を取り上げてご紹介いたします。

先日5月14日に、東京証券取引所はフリーマーケットアプリのメルカリの新規上場を承認したと発表しました。6月19日にマザーズに上場するとのことです。

メルカリは日本のユニコーン企業としても注目を浴びていたので、今回のマザーズ上場発表は大きな話題となっています。

そのメルカリが主戦場としているフリマアプリの市場規模がどのくらいなのか、その伸びはどのくらいなのか、他の類似リユース関連市場と比べてどうなのか、実際の数字を見て確認してみたいと思います。

経済産業省は「電子商取引に関する市場調査」を平成10年度(1998年度)から毎年継続して調査しており、平成29年度(2017年度)の調査結果を、今年(2018年)4月に発表しました。前回(平成28年度)の調査から、CtoC市場(リユース市場)の市場規模推計が行われており、今回の結果と比較して、リユース関連市場がどのくらいの規模なのか、どのくらい伸びているのか見てみたいと思います。

リユース市場全ての市場規模を網羅できてはいませんが、把握できている範囲で、経済産業省の調査推計結果から、比較可能な分野を取り上げて、確認してみたいと思います。

リユース市場の中で最も規模が大きいものは「自動車・バイク・原付バイク」(いわゆる中古車、中古バイク)で、約2兆円と推定されており、2016-17年で横ばいとなっています。次いで、大きいのが「店舗販売」(いわゆるリサイクルショップ)で、この市場規模が約1兆円と推定されており、2016-17年で横ばいとなっています。

次いで大きいのが「ネットオークション(CtoC以外)」で、2016年に7391億円で、2017年に7631億円(対前年比3.2%増)となっています。「ネットオークション(CtoC)」(ヤフオクなど)では、2016年に3458億円、2017年に3569億円(対前年比3.2%増)となっています。

メルカリに代表される「フリマアプリ」市場は、2016年に3052億円、2017年に4835億円(対前年比58.4%)と高い伸びを示しています。更に2018年も拡大することが予想されています。「フリマアプリ」市場自体は、2012年に初めて登場し、それから5年で約5000億円の市場が形成されたことになります。

「ネットショップ(BtoC)」は、2016年に約2300億円、2017年に約2600億円(対前年比13%増)となっています。

このようにみると、リユース市場全体で伸びていますが、その中でもフリマアプリ市場の伸びが突出して高いことが分かります。

メルカリの流通総額が2017年6月期で2480億円、2018年6月期には3000億円越えは確実とみられています。2017年度の市場規模から単純計算でも、市場シェア62%となっています。すなわち、「フリマアプリ」市場が伸びたからメルカリが伸びたというより、メルカリが伸びたから、「フリマアプリ」市場が伸びた、と言えるのではないかと思います。

数字で確認すると、「フリマアプリ」市場、メルカリの成長の凄さがよく分かりますね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)