旬の数字 2018年6月13日

フィンテックの次はフードテック? 食肉市場規模7500億ドル



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)


皆さんは「代替肉」をご存知でしょうか?
代替肉とは、植物由来の肉や、動物の幹細胞を培養して人工的に作った肉のことです。近年、代替肉などバイオテクノロジーを駆使した食品類を作る企業やスタートアップが「フードテック」と呼ばれて注目を集めています。

現在、食肉業界の市場規模は世界で7500億ドル(約80兆円)あると推計されています。これが、今後2050年までに需要が2倍に拡大することが見込まれています。世界の人口が経済の3割増の98億人となり、新興国を始めとした中間層の増加による需要増加が要因とされています。

こうした背景から、将来的にタンパク質不足や、食肉のための畜産に用いられる穀物資源需要の増大などの問題から、所k物由来の人口肉などの代替食品への関心が高まっています。

米シリコンバレーを中心として、様々なベンチャー企業が誕生しています。

例えば、米国で、肉を使わないハンバーガーとして「インポッシブル・バーガー」が話題を集めましたが、シリコンバレーのベンチャー企業「インポッシブル・フーズ」社開発したものです。同社は2011年にスタンフォード大のパトリック・ブラウン名誉教授が創業した会社です。

その他、米「ビヨンド・ミート」社は、植物由来のバーガーやチキンを、米大手スーパーの「セーフウェイ」などに提供しています。同社は、2009年に設立されていますが、ビルゲイツ氏や、俳優のレオナルド・デカプリオ氏が出資したことで有名です。

日本では、「インテグリカルチャー」社(東京・文京)が人口肉などの培養技術を開発しており、先日5月25日に、VCなどから約3億円を調達したと発表しています。昨年10月ニコニコ動画に「君の肝臓をたべたい」という投稿で、鶏の肝臓細胞を培養して試作した「培養フォアグラ」の試食映像がながれ、話題にもなりました。

植物肉などは、イスラム教などの宗教的理由で特定の動物肉を食べられない人にも提供できるため、インバウンドやベジタリアン向けの食品・飲食店にも用いられる可能性が高いといえそうです。

ちなみに、将来的なタンパク源不足のために、「昆虫食」も研究・開発されているそうです。米エクソ社はコオロギの粉末を使った「クリケットフラワー」や栄養食品を開発・販売していて、電通参加のベンチャーファンドも出資しているそうです。

昆虫食、2年ほど前に一度だけコオロギのチョコをかじったことがありますが、噛んだ時に「プチッ」という触感がしました。見た目、触感を含めて、何とも言えない感じでした。

出所:
Forbes JAPAN ※最終アクセス 2018年6月13日
https://forbesjapan.com/articles/detail/21177

日経電子版 ※最終アクセス 2018年6月13日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31327120U8A600C1000000/


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)