旬の数字 2018年7月4日

2020年度小学校プログラミング教育必修「準備していない」57%



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)

皆さんは2020年度から小学校で「プログラミング教育」が必修になることをご存知でしょうか?「プログラミング教育」への関心や問題意識の高い方なら、小学校で必修になることは既にご存知かもしれませんね。

それでは、肝心の小学校が、どのくらい「プログラミング教育」必修化に対応できているかご存知でしょうか?

今年の3月末に文部科学省が、全国の各区市町村教育委員会の担当者に、2020年度のプログラミング教育の全面実施に向けた取組状況等について行ったアンケート調査の結果(※)を公表しました。

同調査では、各教育委員会のプログラミング教育必修化への取り組み状況を4段階に分類し、「特に取り組みをしていない(ステージ0)」という段階の教育委員会が57%という状況であることが明らかになりました。

ちなみに、「担当を決めて検討中(ステージ1)」段階の教育委員会が13%、「研究会や研修を行っている(ステージ2)」段階の教育委員会が13%、「授業を実施している(ステージ3)」段階が16%となっています。

地域別に「特に取り組みをしていない(ステージ0)」段階の教育員会の割合をみると、高い順から
北海道(82%)、東北(73%)、九州沖縄(64%)、中部(59%)、四国(56%)、近畿(48%)、中国(40%)、関東(34%)
となっています。

やはり、関東の小学校(教育委員会)ではプログラミング教育必修化への取り組みが早いものの、北海道、東北、九州沖縄といった地方では、取り組みが遅れているということが分かります。

「プログラミング教育に向けた取組をしていない理由(複数回答)」を訪ねると、「プログラミング教育の趣旨、目的、基本的な考え方などの情報が不足している」が64%、「教育委員会内部で、プログラミング教育を担当できる人材が不足している」が56%、「プログラミング教育を推進するための予算(ICT機器等の整備等)が不足している」が44%という状況になっています。

その一方で、民間レベルでは子ども対象のプログラミング教育が盛り上がっています。

GMOメディアと船井総合研究所が共同で実施した「2018年子ども向けプログラミング教育市場調査」によると、プログラミング教育市場規模は、2013年に約6.6億円だったものが、2018年には約13倍の約90.7億円、2023年には約34倍の226.4億円に拡大することが予想されています。

学校よりも、民間の方が教育トレンド、将来に必要な学びに対するニーズを敏感に察知して対応していることが分かります。

子どもの教育を考える親からすると、自然豊かな地方で育ってもらいたい一方で、世の中の潮流を捉えて生き残るすべを学んでもらいたいという気持ちもあります。なかなか悩ましいところですね。。

もしかすると、地方でプログラミング教育など先端の教育が受けられるようになると解決するかも!?

※文部科学省「教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等について」(平成29年度)
文部科学省の委託を受けた調査会社が2~3月に全国の教育委員会を対象にアンケート調査を実施、722の区市町村教育委員からの回答を得ている(全国の約4割に当たる)。

出所:
株式会社政索研究所 ※最終アクセス 2018年7月4日
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/22/1370024_1.pdf


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)