旬の数字 2018年7月11日

野球離れ?少子化? 高校野球(硬式)部員数、前年比約8000人減



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)

皆さんが一番好きなスポーツは何でしょうか?
昭和の頃は、日本の国技とも言われていた野球。平成に入り、野球離れがささやかれていましたが、データからもその傾向が顕著に現れてきました。

公益財団法人 日本高等学校野球連盟(以下高野連)発表では、2018年5月の調査で全国の部員数(男女・硬式)は153,184人となり、対前年で約8000人(8,389人)の減少となったようです。率にすると5.2%の減少です。

野球は「人気に陰り」と言われてすでに長い時間が経っていますが、それでも野球人口は他の競技を上回ると思われていました。
高野連の同様のデータによると、高校野球の部員は2017年で161,573人でした。一方、公益財団法人 全国高等学校体育連盟の発表によると、サッカー部(男子)の部員は169,855人で野球を上回っています。

日本は少子化が進んでいるために、高校生の人数自体が毎年2~3%ずつ減少しています。そのため、実はサッカー部員も2017年は2016年に比べて約2.2%減少していますが、野球部員はそれ以上の減少となっているわけです。さらに小中学生では野球人気は著しく落ちていると言われています。

一方で伸びている競技がいくつかあります。競泳、卓球、バトミントンです。
これらは最近、「世界水泳」、「世界卓球」、「世界バトミントン」など、日本人トップ選手が活躍する世界大会がTV中継されるようになってきているものです。現代の若者は、世界で優勝し、金メダルを取れるといった「世界の頂点に立つ日本人」へのあこがれがあるのかもしれません。

かつての昭和時代は、「長嶋、王、巨人、読売新聞、全国放送」でしたが、そこから「キャプテン翼、Jリーグ、W杯出場」へ、さらに「日本が世界に挑戦する競技」へと関心が移ってきたのではないでしょうか。

高校球児の減少は、単なる少子化・野球離れというよりは、スポーツの多様化、グローバル化による価値観変化の影響が大きいのかもしれません。家族揃ってお茶の間でTVスポーツ中継を見て、「地元の高校球児が日本一を目指す甲子園」を見て感動する時代から、ネットで自分関心のある多様なスポーツ中継を見て、「世界一を目指すトップ日本人アスリート」を見て感動する時代に移っているのかもしれませんね。

出所:
朝日新聞デジタル ※最終アクセス 2018年7月11日
https://www.asahi.com/articles/ASL6N6D8YL6NPTQP01Z.html

公益財団法人日本高等学校野球連盟 ※最終アクセス 2018年7月11日
http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/index_koushiki.html

公益財団法人 全国高等学校体育連盟 ※最終アクセス 2018年7月11日
http://www.zen-koutairen.com/f_regist.html


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)