業界ウォッチ 2018年8月6日

教員のちょっと気になる「五輪チケット価格」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「五輪チケット価格」を取り上げてご紹介いたします。

7月20日に、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会が五輪の一般チケットの価格帯を公表しました。開会式・閉会式のチケット価格帯は最高価格が30万円(開会式)で、最低価格が1.2万円となっています。競技種目の一般チケットの価格帯は最高価格が13万円(陸上)、最低価格が0.25万円となっています。チケット全体の半数以上が0.8万円以下で購入可能なようにしているそうです。

この発表を受けて、「世界的な人気競技や日本選手の活躍が期待される競技が高価格帯を占めている」との報道(注1)もみられました。

それでは、実際に競技種目ごとの価格がどうなっているのか、どの競技が高く設定されているのか、どの競技の価格が低いのかなど、実際の数字で確認したいと思います。

まず開会式・閉会式・競技ごとのチケット価格全体を見ると、最高価格は開会式の30万円で、次いで閉会式22万円となっています。競技別では、陸上競技13万円が最高価格で、開会・閉会式は競技種目より2倍以上の価格設定がされています。いかに開会・閉会式が重視されているかが分かります。

それでは、競技種目別でみるとどうでしょうか。種目別最高額は前述の「陸上競技(トラック&フィールド)」の13万円ですが、次いで「競泳」10.8万円、「バスケットボール」10.8万円、「バレーボール」8.15万円、「体操競技」7.2万円、「野球」6.75万円、「サッカー」6.75万円の順となっています。

一方、設定された最高価格が低い種目を見ると、低い順から「近代五種」0.4万円、「自転車(マウンテンバイク)」0.5万円、「射撃(ライフル、クレー)」0.55万円、「セーリング」0.55万円、「自転車(ロード)」0.55万円、「水泳(マラソンスイミング)」0.55万円となっています。

こうしてみると、概ね世界的人気がある競技、日本人選手が活躍しそうな競技のチケット価格が高めに設定されているように思います。

しかし「バスケットボール」、「バレーボール」が微妙(高く設定されすぎ?)ではないかと感じました。バスケに関しては米国NBAトップ選手が代表チームを形成するのであればまだ納得できます。ですが、「バレー」はどうでしょう。

バレー日本代表はさほど強くないですし、特に男子チームに至ってはここ2大会連続で本大会出場を逃しています。逆に言うと、この価格に納得できるほど「バレー」への注目が集まってほしいところです。日本代表には日本国内だけで人気を集めるのではなく、国際的低迷期を脱して、再び上位に食い込んでもらいたいですね。

注1:日本経済新聞2018年7月21日付朝刊

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)