業界ウォッチ 2018年8月13日

教員のちょっと気になる「世界平和指数」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「世界平和指数」を取り上げてご紹介いたします。

毎年8月6日、8月9日は広島、長崎の「原爆の日」として平和記念式典が行われます。広島・長崎に原爆が投下されてから73年が経過しましたが、今後も追悼を継続していくことが必要ですね。

世界には様々なシンクタンクが存在していますが、平和指数を発表しているシンクタンク、「国際シンクタンク経済平和研究所(Institute for Economics and Peace、本部シドニー)」が、「世界平和指数(Global Peace Index 2018)」を公表しました。

この指数は163の国と地域を対象に、信頼できる23の情報源をもとに、「安全面」(犯罪率、暴力犯罪の数、政治テロなど)、「内戦・戦争」(内戦・戦争の有無、隣国関係など)、「軍事化の度合い」(軍事支出、核兵器などの武力、軍従事者の割合など)の観点から平和状態を指数化したものです。

同平和指数によると、国別トップはアイスランドで、日本は9位とのことでした。

それでは、平和指数でみた平和な国はどのような国があり、平和ではない国はどんな国なのか、実際のデータで確認してみたいと思います。

世界平和指数は、指数化したスコアが低いほど平和で、スコアが高いほど平和でないとされています。

このデータによる平和な国の上位国は、上位からアイスランド、ニュージーランド、オーストリア、ポルトガル、デンマークの順となっています。日本は8位のシンガポールに次いで9位となっています。人口30万人ほどの小国アイスランドは11年連続トップだそうです。上位10カ国の多くが欧州諸国でしたが、アジアから上位10カ国入りしたのは、シンガポールと日本の2カ国だけでした。上位20カ国になると、アジアからブータンが入ってきます。

一方平和でない(指数スコアが高い国)は、順にシリア、アフガニスタン、南スーダン、イラク、ソマリアとなっています。いずれも紛争地帯や、テロが多い国があがっています。

ちなみに米国は、平和指数上位から121番目で、トルクメニスタン(119位)、アルメニア(120位)よりも順位が低く、ミャンマー(122位)、ケニア(123位)よりも上位ということになります。

地域別の平和指数平均値で見ると、やはり欧州が最も平和で、次いで北米、アジア・太平洋となっています。平和でない地域として、中東・北アフリカ、南アジア、ロシア・ユーラシア地域となっています

実際に指数化して国際比較してみると、日本は世界の中でも平和な国であるということがよくわかります。日本を語る時に印象論で語るのではなく、時々こうした国際比較データを見ることによって、日本の状況を客観的に把握することが大切ですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)