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業界ウォッチ 2018/08/20

教員のちょっと気になる「大手企業夏のボーナス」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「大手企業夏のボーナス」を取り上げてご紹介いたします。

8月1日、経団連が大手企業(東証1部、従業員500人以上)の夏の賞与・一時金(ボーナス)の最終集計結果を発表しました。発表によると、平均妥結額は95万3905円(※)となっています。これは、1959年の調査開始以来、過去最高額を記録したことになるそうです。

今年2018年は、企業業績の好調さに加えて、安倍政権の「3%以上」の賃上げ要請も背景に、対前年比8.62%増と大幅に伸びたとの見方もされています。

それでは、もう少し長期トレンドでみて夏のボーナスが伸びているといえるのか、業種別にみると、どの業種のボーナスが多いのか、ボーナスが伸びている業種はどこかなど、実際の数字を見て確認したいと思います。

夏のボーナス(平均妥結額)の推移を2001年~2018年の期間でトレンドを確認してみたいと思います。2001年の夏ボーナスは77.8万円でしたが、そこから概ね上昇トレンドとなり、2007年に91.0万円と、この時点での過去最高を記録しました。

その後リーマンショックにより、2009年には75.4万円へと大幅に落ち込んでいます。以降2012年まで70万円台でほぼ横ばいでしたが、2013年から80万円台に回復し、2016年の90.5万円まで増加傾向にありましたが、2017年に87.8万円へと落ち込みます。しかし、2018年は95.4万円と、前年から大きく伸びた形になっています。

業種別に見ると、2018年の夏ボーナスが最も高かったのは「建設」で161.8万円でした。次いで百貨店やスーパーなどの「商業」で109.3万円、「自動車」106.2万円と、この3業種の夏ボーナスが100万円を超えています。

「建設」は2020年東京オリンピック・パラリンピックの施設建設需要に加え、人手不足の問題がありダントツに高いことが分かります。対前年比でも32.3%増と大幅に伸びています。「商業」は対前年比で33.6%増と最も高い伸び率を示した業種で、背景としてインバウンド消費需要などの要因が考えられます。

一方、2018年夏ボーナスが低い業種は、低い方から「紙・パルプ」65.2万円(対前年比4.6%減)、「造船」69.8万円(同13.7%減)、「電力」73.5万円(同3.9%増)となっています。夏ボーナスの高い業種と低い業種を比較してみると、「建設」と「紙・パルプ」では100万円近いボーナスの差があることになります。

「建設」のボーナスの高さ、伸び率の高さは驚きでしたが、オリンピック・パラリンピックを背景とした一時的ものだとすると、「その後の反動も大きそうだ」ということが容易に想像できそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)