業界ウォッチ 2018年8月27日

教員のちょっと気になる「音楽フェスの動向」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「音楽フェスの動向」を取り上げてご紹介いたします。

夏は、花火など様々なイベントが開催されますが、音楽フェスも夏のイベントに欠かせないものとして定着してきています。中でも大型音楽フェスといえば、「フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)」「サマソニ(SUMMER SONIC)」「ロッキン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)」が三大フェスとして有名です。

これらの音楽フェスが盛り上がっているという話題をニュース等で見かけるものの、どのくらいの人が参加していて、どんな人たちが参加しているのでしょうか。実際に数字で確認してみたいと思います。

まず音楽フェスの市場規模・動員数(注1)を確認してみます。音楽フェスの市場規模は、2008年に158億円で、2011年(159億円)まで概ね横這いでしたが、2012年から200億円を突破し、2017年には283億円となりました。動員数も、市場規模と似たようなトレンドを示しており、2008年に151万人で、2011年(142万人)まで横ばい傾向でしたが、2012年に198万人へと大幅に増加。そこから増加トレンドで、2017年には283万人となっています。

今年2018年の数字が出るのは、まだ先になると思いますが、今年は台風の影響があったため、もしかすると2017年よりも少ないか横ばい程度となるかもしれませんね。

それでは、三大フェスの男女比、年代別構成比を見てみたいと思います。

女性比率が最も高かったのは「フジロック」で61%でした。(注2)年代比で見ると、20代比率が最も高かったのは「ロッキン」63%、30代比率が最も高かったのは「フジロック」41%、40代比率が最も高かったのは「サマソニ」13%でした。

全体的に20代女性が中心ですが、三大フェスごとに多少参加者層の違いが見られます。「フジロック」は30代女性、「ロッキン」は20代女性、「サマソニ」は30-40代男性に人気ということが分かります。

こうしてみると、音楽フェスが体験消費として伸びていること、フェスが20代若者だけでなく、30~40代も参加し、年代に幅があることが分かります。

今年の夏の大型音楽フェスは終わりましたが、まだ行ったことないという方、来年参加して世の中のトレンドを現場で体感するのもいいかもしれませんね。

注1:ぴあ総研調べ
注2:AMIPLE調べ。イベント同行者探しSNSの「AMIPLE」で、三大フェスをお気に入り登録している利用者を対象に調査

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)