旬の数字 2018年8月29日

有業率(生産年齢人口)が高い都道府県は福井県の80.3%



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

皆さんは、有業率(注1)トップが福井県がということをご存じでしたか?

総務省の平成29年就業構造基本調査によると、有業率トップは福井県の80.3%で、2位山形県(79.7%)、3位富山県(79.1%)となっています(全国平均76.0%)。そして、平成24年度の同調査でも福井県が77.4%と、全国トップでした。就業構造基本調査は5年に一度の調査ですので、連続して1位ということになります。

福井県の有業率が高いのは、繊維、電子・デバイス、眼鏡、プラスチック、電気機械、化学などの製造業で全国平均を上回っていることが理由の一つと考えられています。特に眼鏡は福井県が国内生産量の90%を占めています。
繊維や眼鏡産業は労働集約型産業であり、雇用吸収力が高いという特徴があります。こういった産業が盛んであるために、有効求人倍率は非常に高いのです。

有効求人倍率では、さすがに現在では東京都がトップとなりますが、それに続いて求人倍率が高いのが福井県なのです。

ちなみに、平成29年の有業率を男女別にみると、男性ではトップが愛知県(85.4%)で、福井県(85.1%)、山形県(84.9%)と続きます。実は福井県がトップではないのです。

しかし、女性では、福井県が75.4%でトップ。島根県(74.5%)、山形県(74.3%)となります。さらに共働き比率を見ると、トップは福井県(60.0%)で、山形県(57.9%)、富山県(57.1%)と続きます。

つまり、有業率の高い県は、女性が活躍している(有業率が高い)ことがわかります。

女性活躍推進法が平成27年8月に成立しても女性の社会進出が遅れていると言われる我が国ですが、有業率という観点から、特に地方での女性の活躍が重要なポイントとなっていることが分かります。

また、この調査から、地方にも仕事(就業機会)があることがわかりました。
ただし、仕事内容・質(正規・非正規・待遇等)・賃金については、より詳細な分析が必要となります。

その点を踏まえた上であれば、地方での仕事探し、地方暮らしを検討しても面白いかも知れませんね。

(注1)
有業率(生産年齢人口)= 15~64 歳の有業者数 ÷ 15~64 歳の人口 × 100

出所:
総務省統計局 ※最終アクセス 2018年8月29日
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index2.html

Yahoo!Japanニュース ※最終アクセス 2018年8月29日
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20180816-00093314/


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)