旬の数字 2018年9月5日

ガスト、はなまる、吉野家/「3社合同定期券」300円で相互送客



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)


皆さんは外食、中食、内食のどれが多いですか?

外食産業の牛丼チェーン店「吉野家」と讃岐うどんチェーン店「はなまるうどん」、さらにはファミリーレストランチェーンの「ガスト」が、3社合同定期券を300円で販売を開始しました。

この定期券は、吉野家では丼・定食・皿・カレーが1食当たり80円の値引き、はなまるうどんではうどん一杯につき天ぷら一品サービス、ガストでは毎日モーニング以外で100円値引きとなり、期間内(9/10~10/21)であれば何度でも使え、3社それぞれで発売し、それぞれの集客にプラスにしようというのが狙いです。3~4回の利用で元が取れますね。

もともと、吉野家とはなまるうどんは、吉野家ホールディングス傘下の企業であるために、相互送客を実施し、成果はあげていたようです。そこで、グループの垣根を超えて、店舗数も多く集客力の高いガストと組むことで、さらなる効果のアップを狙ったようです。

今回の取り組みは吉野家ホールディングス側からガスト側に持ちかけられたようですが、そもそもなぜ、ライバルとも言える企業に声をかけたのでしょうか。

これは、吉野家、はなまるうどん以外にも使える店舗を増やしてほしいとの顧客からの要望があったのも背景のようですが、中食市場が伸びる一方、外食市場の成長が鈍化傾向にあることが理由としては大きいようです。(※)

一方、ガストは、すかいらーくホールディングスとして「ジョナサン」や「バーミヤン」との相互送客を行っていましたが。吉野家ホールディングスと相互送客をすることで、消費者に対して今まで気づかなかった新しい提案が生まれるのではないかということで、双方の思惑が一致してキャンペーン化されたようです。

このキャンペーンの効果がどれだけ出るか、興味深いですね。成果によっては、多業態へのさらなる拡大も期待されるかもしれません。この活動が停滞気味の外食市場に風穴を開けるのかが注目されますね。

出所:
日本惣菜協会 ※最終アクセス 2018年9月5日
http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/wp-content/uploads/2018/05/2018hakusho_pressrelease.pdf

一般社団法人 日本フードサービス協会 ※最終アクセス 2018年9月5日
http://anan-zaidan.or.jp/data/2018-1-1.pdf


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)