旬の数字 2018年10月10日

日経平均27年ぶり高値圏4~9月上昇幅、バブル後で最大



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

皆さんは、株式には興味がありますか?

東京証券取引所で日経平均株価が9月28日の取引時間内に一時前日比500円近くを上昇させ、約27年ぶりの高値を記録しました。そして10月1日には終値で2万4245円となり、バブル崩壊後の1991年11月以来、26年10か月ぶりの高値となりました。

バブル崩壊後は2008年10月リーマンショックに端を発し、一時7,000円を割り込んだのが日経平均の最安値ですが、その後10年で3倍以上の値上がりとなりました。

その値上がりの背景は、やはり日本企業の業績が好調に推移しているということが挙げられるでしょう。企業業績向上を裏付ける指標はいくつかありますが、例えば四半期ごとに仮決算計数を調査する法人企業統計で、2018年4-6月期で経常利益が26兆4011億円と、調査開始の1954年以来の過去最高値を示しています(出典:財務省法人企業統計より)。

さらにここにきて、バブル崩壊後の最高値をつけた大きな背景には、日本の株式市場に海外からの資金が集まったことが理由と見られています。

米国景気が好調に推移しているために世界から米国に資金が集中し、ニューヨークの株価は高値圏での推移が続いており、米国FRBは景気状況を見ながら利上げを徐々に進めています。

一方、アルゼンチン、トルコ等の新興国通貨下落など新興国からのマネーの流出、欧州ではイタリア債務問題、英国のEU離脱問題懸念などの状況から、円安/ドル高・企業業績好調な日本株がマネーの受け皿となってきています。

日経平均株価は、国内景気・為替・債券・金利だけでなく、米国を始めとする海外の株価、金利、景気動向なども反映して変動します。国際会議・通商交渉などの国際イベントや紛争問題、国家債務危機(欧州債務危機等)などにも過敏に反応します。

日経平均株価の動向を分析することは、世界の動きを見ることにつながります。

私の周りでも株は買っていないから株には興味がないという人も多いですが、ビジネスパーソンとしては、単に資産運用というだけでなく、と世界経済・国際情勢を把握する意味でも、日経平均の動きをチェックしておいた方が良さそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)