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旬の数字 2018/10/24

2018年度就職・採用、予定者数の確保達成は大企業でも49%



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

皆さんは、就職活動にどのような思い出がありますか。

現在、日本では多くの企業が人材不足に悩まされていますが、2019年春の新卒採用も厳しい状況となっています。リクルートワークス研究所によると、新卒の求人は81.4万人に対して、学生の民間就職希望者は43.2万人となっており、求人倍率は1.88倍とのことです。(※1)

そして、文部科学省が発表した調査結果(※2)によると、8月1日時点で「採用予定者数を確保できた」と回答した企業は、全体の38.0%で、大企業(従業員300人以上)は49.2%と半数以下となっています。中小企業(300人未満)では27.5%となっており、特に中小企業の採用難が続いていることが浮き彫りになりました。

このような中、経団連は、2021年春入社の新卒採用(現在の大学2年生)から、現行の大手企業の採用面接の解禁日などを定めた指針を廃止することを決定しました。この指針の廃止の目的は、経団連未加入の外資系企業などが早くから採用活動を始めるために、経団連加入の国内企業が遅れをとっているということが背景にあります。

現行ルールが廃止されると、採用活動の早期化、長期化が懸念されるため、学生を指導する側の大学から懸念の声が出ています。日本商工会議所は、採用難の中小企業がさらに厳しくなることが予想されるとして反対の声を上げています。こうした動きを受けて、経済産業省や文部科学省では日本における採用・雇用のルールを見直すべく検討に入るようです。

中小企業の人材不足は深刻です。帝国データバンクによると、2018 年 4~9月の人手不足による倒産件数は76件で、前年同期比40.7%の大幅増となり、調査開始以降、半期ベースの最多を更新しています。(※3)

このままでは、技術力の高い企業や、高収益の優良中小企業が、人手不足が理由で「廃業」となってしまう可能性が出てきます。

その対策として、外国人労働力確保、IT活用・生産性向上策などが提唱されているものの、本当にそれで解決するのか微妙に思います。

新卒一括採用廃止や外国人労働力確保等の個別対応策ではなく、解雇規制なども含めて日本の雇用制度全体、根本から考えなおしていかないといけない時期に来ているのではないでしょうか。

出所:
リクルートワークス研究所 ※最終アクセス 2019年3月19日
http://www.works-i.com/pdf/180426_kyujin.pdf

文部科学省 ※最終アクセス 2019年3月19日
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/attach/1410088.htm

帝国データバンク ※最終アクセス 2019年3月19日
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181001.pdf


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)