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旬の数字 2018/12/12

「来訪神」が無形遺産に決定!ナマハゲなど8県10件の行事



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)

国連教育科学文化機関(ユネスコ)は11月29日にインド洋のモーリシャスで政府間委員会を開き、日本政府が申請した「来訪神 仮面・仮装の神々」を無形文化遺産に登録することを決定しました。来訪神(らいほうしん)は、お正月やお盆の時期など、年に一度決まった時期に人間の世界に来訪するとされる神のことで、秋田県の「男鹿のナマハゲ」、沖縄県の「宮古島のパーントゥ」など8県10件の行事で構成されます。

「無形文化遺産」とは「ユネスコ三大遺産」の一つで、「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)に基づいて、ユネスコが登録する伝統芸能や工芸技術、祭礼行事などを指します(※1)。この他には、「世界遺産」(歴史的建造物や自然環境が対象)、「世界の記憶(世界記憶遺産)」(文書や絵画が対象)があります。

これまで日本の「無形文化遺産」の登録は、歌舞伎、能楽、和紙、和食など21にのぼり、今回の「来訪神 仮面・仮装の神々」の登録は2016年の「山・鉾・屋台行事」以来となります。

無形文化遺産に登録された「ナマハゲ」にしても「パーントゥ」にしても、担い手の不足や高齢化、さらには地元住民にも自宅の訪問を拒否されるなどの課題が挙げられています。「ナマハゲ」に至っては、子どもの成長を考えての行事なのですが、むしろ児童虐待であるとの意見も出る始末のようです。
今回登録された10件の行事いずれも多かれ少なかれ課題があり、存続が危ぶまれるものも多いと考えていいでしょう。

ちなみに、2016年に登録された「秩父夜祭」は登録後に過去最高の人出を記録しました。こうした効果を指して「ユネスコ効果」と表現する報道もありました。この効果がどのくらいの期間続くかはわかりませんが、無形文化遺産登録によって、「地元の祭りの存在理由」や、「現在抱える課題」を知ってもらえる、という効果は十分にあるのではないでしょうか。

「来訪神 仮面・仮装の神々」の無形文化遺産登録による「ユネスコ効果」をうまく活用し、なんとか各地で伝統を受け継いでもらえることを願うばかりです。

出所:
文化庁 ※最終アクセス 2019年3月19日
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/mukei_bunka_isan/

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)