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業界ウォッチ 2019/02/11

教員のちょっと気になる「嵐ショック」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今回は、「 嵐ショック 」を取り上げてご紹介いたします。

先日(1月27日)、国民的アイドルグループの「嵐」が2020年末をもってグループの活動を休止すると発表しました。このニュースで、翌日以降しばらくメディアを賑わすこととなりました。

嵐のファンクラブ会費収入だけで年間100億円規模(会員数約250万人×年会費4000円)といわれますが、それ以外にも経済的な影響力があるものと考えられます。

それでは、アイドルグループ「嵐」に関する市場がどのくらいの規模なのか、どのように推移しているのか、その他のタレント、人気グループや、エンタメコンテンツと比較してどのくらいの規模感なのか、実際の数字を見て確認したいと思います。

まず博報堂DYメディアパートナーズと博報堂が実施している「コンテンツファン消費行動調査」をもとに、「嵐」の市場規模の推移を見てみたいと思います。同調査では、調査対象とするコンテンツ(個別タイトル、アーティスト)のコアファンによる年間の関連市場規模として「支出喚起力」をランキング形式で発表しています。

「嵐」の市場規模を取得可能な範囲(2015~‘18年)で推移を見ると、’15年は367億円と2位(ちなみに3位はSMAPの354億円)でしたが、‘16年は734億円と倍近くに拡大しています。そこから、’18年の328億円まで落ち込みますが、’17~’18年の間、3年連続1位をキープしています。

「嵐」以外のコンテンツと比較してみると、‘18年は「アイドルマスターシリーズ」が2位で276億円、次いで「ラブライブ!」(3位、273億円)、「関ジャニ∞」(4位、209億円)、「刀剣乱舞」(5位、150億円)と続きます。

「嵐」や「関ジャニ∞」のような、いわゆるアイドルグループ、アーティストだけでなく、「アイドルマスターシリーズ」や「ドラゴンクエストシリーズ」のようなビデオゲームコンテンツや、「ラブライブ!」のような漫画・小説・アニメ・ゲーム等のメディアミックス型コンテンツが上位にランキングされています。「刀剣乱舞」もゲームから派生してミュージカルなどに展開されているメディアミックス型のコンテンツといえます。

こうしてみると、テレビを中心として活躍する国民的アイドルグループのファンの市場規模が縮小し、ネット・ゲーム等のメディアミックス型のコンテンツなど、「知る人ぞ知る」、「好きな人はとことん好き」なコンテンツ消費へと分散してきているといえるかもしれません。

ワイドショー的にジャニーズ事務所の影響力がどうなるのかという観点ではなく、コアファンのコンテンツに対する支出・市場規模がどう変遷していくのかという観点で「嵐」の位置づけをウォッチしていくのも面白いですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)