旬の数字 2019年2月13日

大学入試センター試験全日程終了57万人が受験



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 専任講師)

先日(1月19日、20日)、「大学入試センター試験」が行われました。今年の受験者数は昨年と比べて5841人少ない57万6830人が志望校の合格を目指してチャレンジしました。受験者数は昨年に比べて減少しましたが、「大学入試センター試験」を利用する国公私立の大学・短大は前年より4校増えて852校と過去最多となりました。(※1)

「大学入試センター試験」は、以前の「共通一次試験」(昭和54年/1979~平成元年/1989)から変更され平成2年(1990年)1月に第1回が実施されましたが、2020年をもって終了し翌2021年より新制度「大学入学共通テスト」に移行します。

新制度「大学入学共通テスト」は、「大学センター入試試験」同様、1月中旬の週末2日間での実施となりますが、内容が若干変わります。主な変更点は、「国語」と「数学」で記述式問題の導入、「英語」で民間の資格・検定試験の導入(2023年までは共通テストを併用し、その後民間試験に完全移行する方向)です。

文科省は、大学や社会生活で必要な問題発見・解決能力を評価することが重要であり、入試においても、知識量だけでなく、自ら問題を発見し、答えや新しい価値を生み出す力が重要であるという判断から、大幅な変更としたようです。

詰込みだけの入試対策で合否が判断するよりは新制度の方がいいという意見もありますが、疑問を呈する意見も多いのが実情です。例えば、「記述式を導入したことで採点時間がかかりすぎる」、「均一な採点基準を維持できるのか」などの意見が上がっています。(※2)

そして、新制度導入は、今年の中学受験にも影響を与えたようです。

現予定では、今年中学に入学する生徒が大学受験を迎える2025年から、理科・社会に記述式が導入され、プログラミング等の新科目も導入される見込みとなっています。

従って、新制度に向けて、中学1年から大学受験を意識した勉強が必要となります。そのため、中高一貫校が人気となり、大学付属校の受験者数が伸びているようです。

小学生時点で大学受験を意識した「中学受験準備」が、本当に子どもたちの成長のプラスになるのか、しっかり検証をしてもらいたいものです。

受験に限らず、新たな取り組みには、課題・トラブルなども伴いますが、この新制度移行が子供たちの教育にプラスに働くことを祈るばかりです。

※1 報道発表「平成31年度大学入試センター試験実施結果の概要」

※2 この他にあがっている意見として次のようなものがある
「現在の高校1年生から新制度に移行になるが、高校2年生までは今までと同じなので高校側の指導に混乱が生じる」、「高校2年生は万が一浪人すると翌年は新制度に向けた別の受験勉強を行わなければならない」など

出所:
独立行政法人大学入試センター ※最終アクセス 2019年3月19日
平成31年度大学入試センター試験 実施結果の概要


執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)