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MBAダイジェスト 2019/05/04

アカウンティング(4)「BS」の3つのハコに小気味良い振動音を奏でさせるのが経営だという話

『MBAダイジェス』シリーズでは、国内初・最大級のオンラインMBAである「BBT大学院」、ならびに2つの国際認証を持つ「BOND-BBT MBAプログラム」の修了生が、両校で学ぶMBA科目のエッセンスをまとめ、わかりやすく紹介していきます。将来的にMBAの取得を検討している方や、MBAの基礎知識をインプットしたい方はご活用ください。


 
執筆:佐藤祐樹(BBT大学院MBA本科修了、三丸化学株式会社 取締役)
対象科目:アカウンティング(櫻庭周平 教授)

accounting

BS・PLを経営者目線で解説

経営はカネじゃないけれど、世の中を動かすものはカネです。

全てのビジネスパーソンはアカウンティングの知識を身に着けるべきです。

その知識があれば、決算書の数字が物語に感じられるようになります。

前回、BS(貸借対照表)は財政状態のスナップショット、PL(損益計算書)はある期間の企業の成績表、とお伝えしました。

世の中のBS・PLの解説は、投資家や取引先などの分析の視点で語られることが多いものです。

それなら検索して調べれば事足ります。

今回はMBAらしく、経営者目線で深掘りしましょう。

BSは経営資源の保管庫

BSは3つのハコで構成された財産と所有者の一覧表です。

左側のハコはその会社が持つ資産を、流動性の高いものから低い順番に記載されています。

現金、売掛金、棚卸資産、固定資産…という順番です。

右側の2つのハコは、左側の資産のいくら分が誰のもの?ということが表現されています。右上のハコは負債で、買掛金や借金など債権者が存在し、必ず返さなければならないものです。

右下のハコは資本と呼ばれ、投資家から集めた資本や今までの利益の剰余金など、株主のものです。

左右の金額は1円単位までぴったり一致します。

これによって、おカネというモノサシで測られた経営資源が一目で理解できるのです。

絶妙なのが、それぞれの資産に誰のものか名前を書くような記載ではない点。

店舗の改装は銀行からの借入金で行って、コーヒーカップは資本金を使った、などといちいち表現していません。

左側が資産合計、右側は誰がいくら分の権利を持っているか。モノサシは金額。シンプル。

うっかりコーヒーカップを割ってしまったとき、その分左側の資産が減りますが、負債は1円もまけてもらえるはずがなく、右下の株主の価値が同じだけ減ります。

逆に、珍しいコーヒーがヒットして利益がいつもより多く出ても、負債はそのままで、株主価値がその分だけ大きくなります。

このように、おカネの流れの原因と結果の二面性を的確に表す方法を複式簿記と言います。

ドイツの偉大な詩人、ゲーテは、「人類の最大の発明は複式簿記だ」と言いましたが、本当にため息が出る手法だと思います。

すごく便利で、美しい技法です。

PLは経営資源の加工工場

PLは売上をトップラインとして、かかった費用をどんどん引いていく成績表です。

売上から製造原価を引くと売上総利益(粗利)になり、そこから販売管理費を引くと営業利益です。

BSが経営資源の保管庫だとすれば、PLはその各種資源を加工する工場(あるいは作業場)です。

経営者は基本的に満足しない生き物です。

今のBSの財産構成にとても不満があり、期末までにこういうBSにしたいと思いを馳せます。

PLという加工工場に、保管庫たるBSから資源を取り出して効率よく流し込み、活動し、最終成果物である利益を生み出します。

その利益はBSの右下の資本の棚に、残った資源は分類して左側の保管庫に収納されます。

利益がたくさんたまり、左上の方にしまっている現金も増えたら、新しい冷蔵庫とか浄水器のような資産に変えていきます(現金の棚は小さくなりますが、その分ぴったり、固定資産の棚が増えます)。

こうやって、期末までにこうしたいという理想的なBSに近づけていきます。

経営者には会社はこう見えています

まとめるとこうです。

経営者の脳みその中では、会社は、BSの3つのハコと事業活動の作業場に見えています。

自分が夢見てうっとりするようなBSを実現するために、3つのハコからせっせといろんなものを作業場に持ってきては加工し、またいずれかのハコに収納します。

出して、加工して、分類して収納する、を何度も何度も繰り返します。

3つのハコが、まるで精緻な機械のように小気味良い振動音を奏でて、無駄なく効率的に活動するように心を配ります。

これが経営者の見えている会社の姿であり、財務諸表です。

3つのハコの活動を映像化しながら経営を考えているのです。

…数字の出てこないアカウンティング解説ですが、いかがでしょうか?

貸借対照表を読むのが面倒だ、という気持ちがなくなれば成功だと思っています。

佐藤祐樹

BBT大学院MBA本科 修了 三丸化学株式会社 取締役事業部長
1974年生、宮城県仙台市出身。
大学でデザイン(専門はシルクスクリーン)を学んだ後、写真業界、出版社勤務を経て現企業に転職。営業・マーケティング部門で活躍中、2011年3月に出張先で被災。
その後2年間、企業勤めの傍らボランティアセンターの運営に携わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得、同年取締役事業部長に就任。事業活動の責任者としてマーケティングから人事まで幅広く担当している。
また、2015年10月に友人とコーヒーの焙煎販売を行う株式会社リュミヌー珈琲を設立。
その他、コピーライターや事業計画作成支援、大学の補助教員などのフリーランス業務も行う。
「世の中の幸福の総量を力強く増やす仕事人」を目指す愛犬家。愛犬を連れてよく遊びにも行く。
趣味は手作りスモークチーズなどの燻製を作ること。

※BBT大学院MBAプログラムの受講体験談はこちら