MBAダイジェスト 2019年5月4日

マーケティング概論(4)恋人候補を設定するにも冷静な計算が必要だという話

『MBAダイジェス』シリーズでは、国内初・最大級のオンラインMBAである「BBT大学院」、ならびに2つの国際認証を持つ「BOND-BBT MBAプログラム」の修了生が、両校で学ぶMBA科目のエッセンスをまとめ、わかりやすく紹介していきます。将来的にMBAの取得を検討している方や、MBAの基礎知識をインプットしたい方はご活用ください。



執筆:佐藤祐樹(BBT大学院MBA本科修了、三丸化学株式会社 取締役)
対象科目:マーケティング概論(数江 良一 教授)

恋人のいない自分に訪れたチャンス!

あるパーティーで、華やかでとても目立つグループに遭遇しました。

パーティーは独身者だけが参加しており、そのような意図はなくても、結果的に婚活パーティーの様相。

恋人のいない自分にとっては大きなチャンスです。

ひょんなきっかけからたまたま自分と盛り上がっているのは、華やかな5人のグループ。

それぞれ個性があり、それを活かした仕草やファッションを身に付けています。全員が、家柄や経歴、交友関係、考え方も素晴らしく、とても健全そうな人たちです。

この中のひとりが恋人になってくれたら、どんなに素晴らしいだろう。

でも、こんな自分がアタックしてもいいのかな?

ターゲティングって何?

今回の質問はターゲティングの意味とは?です。

マーケティングの基礎の基礎は、STP、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングです。

その真ん中にあるのがターゲティングですが、今回は簡単な問ですね。

言葉通り、どこに狙いを定めるか?という意味です。

おさらいです。

これまで、マーケティングとは何か、市場とは何か、セグメンテーションとは何かをざっくり解説しました。

マーケティングとは、「売れる仕組みを作ること」です。

売れる仕組みさえあれば、宣伝広告も販売活動も必要ありません。

マーケティングの究極の目標は販売活動さえなくすことです。

市場とは、「製品やサービスを購入しようとしている、または今後購入する見込みのある個人や組織の集合」です。

「見込みのある」 というところがポイントです。

買うかどうか迷っている人だけではなく、サービスや商品をまるで知らない人も含めて市場です。

セグメンテーションとは、市場という丸いピザをどんな切り口で切り分けるか?です。

切り分け方には、年齢、ジェンダー、地域、年収、趣味の属性など無数の考え方があり、正解はありません。

そのような切り口で切り分けた断片のひとつひとつが、各セグメントです。

限られたリソースをどう配分するか?

ターゲティングとは、各セグメントのどれに狙いを定めてアプローチするかです。

この際のポイントは2つあります。

ターゲットの規模の大きさを見定めること、可能性の高さを見極めることです。

華やかなパーティーに参加している異性は50人だと聞いています。

その会場で、誰もが認める突出した5人の異性グループ。

この中の誰かひとりと恋に落ちたい自分がいます。

しかし、大きなパーティーですので、ほかにもたくさんの異性グループがあります。

パーティーの時間だって限られています。

ほかのグループとの出会いの可能性を全部捨てて、この突出したグループで勝負すべきか?

でもそれだと、もしかしたら他にいる運命の人と出会えなくなるかもしれない。

それなら、保険をかけて、他のグループにもアプローチして、メルアドくらいは集めておくべきか?

そうすると、せっかく知り合えたこのグループとの関係が深められないかもしれない…。

ざっくり④ 強みと規模と可能性を活かしてアタックしよう!

ターゲットに何らかの施策でアプローチすることを、「リーチ」と言います。

手を伸ばすという意味ですね。

うまく自社の顧客になってもらえれば、「リーチが届いてコンバージョン(成約)できた」なんて文脈で使います。

このパーティーの異性市場は50人。

その全てにリーチするのは不可能です。

今、歓談している突出したグループは5人。

このセグメントだけにリーチしたとしたら、市場カバー率は10%です。

なんか少ないような気がしますし、ライバルも多そうで、コンバージョンの可能性は低そうです。

リーチしたターゲットの数÷市場全体×100で市場カバー率が求められます。

市場カバー率は大きいほうが可能性は高まります。

リーチしたターゲットの数×想定されるコンバージョン率で、恋人ができる可能性の絶対数が求められます。

しかし、選択と集中を行う場合と違い、いろんなグループに広く浅くアプローチしたら、コンバージョン率そのものが低くなってしまいます。

さて、残りの時間、ターゲティングするセグメントを増やすか、このグループに資源の全てを投入してコンバージョン率を高めるか?

こんな打算的なことを考えながらも、笑顔を絶やさずグループと親交を深めるのでした。

佐藤祐樹

BBT大学院MBA本科 修了 三丸化学株式会社 取締役事業部長
1974年生、宮城県仙台市出身。
大学でデザイン(専門はシルクスクリーン)を学んだ後、写真業界、出版社勤務を経て現企業に転職。営業・マーケティング部門で活躍中、2011年3月に出張先で被災。
その後2年間、企業勤めの傍らボランティアセンターの運営に携わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得、同年取締役事業部長に就任。事業活動の責任者としてマーケティングから人事まで幅広く担当している。
また、2015年10月に友人とコーヒーの焙煎販売を行う株式会社リュミヌー珈琲を設立。
その他、コピーライターや事業計画作成支援、大学の補助教員などのフリーランス業務も行う。
「世の中の幸福の総量を力強く増やす仕事人」を目指す愛犬家。愛犬を連れてよく遊びにも行く。
趣味は手作りスモークチーズなどの燻製を作ること。

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