MBAダイジェスト 2019年6月20日

ビッグデータ分析(3)2種類のデータと4種類の分析手法

『MBAダイジェス』シリーズでは、国内初・最大級のオンラインMBAである「BBT大学院」、ならびに2つの国際認証を持つ「BOND-BBT MBAプログラム」の修了生が、両校で学ぶMBA科目のエッセンスをまとめ、わかりやすく紹介していきます。将来的にMBAの取得を検討している方や、MBAの基礎知識をインプットしたい方はご活用ください。



執筆:村西重厚(BBT大学院MBA本科修了、データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター)
対象科目:ビッグデータ分析(豊田 裕貴 ビジネス・ブレークスルー大学大学院 客員教授、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授)

ビジネスデータは2種類ある

ビジネスデータはその収集目的により、大きく下記の2種類に分けられます。

●日常的に集まるデータ

例えば小売店のレジでお客様が買い物をした時に入力される、いわゆるPOSデータはそのまま売上データとなります。このデータに基づき、どのような商品がどれくらい売れているのかなどを分析することができます。

またWEBサイトのアクセスデータも同様に、日々の運営の中で、どのページにどれくらいアクセスがあり、クリックされたかなどがわかります。このデータに基づき、自社WEBサイト内のどのページが売上に貢献しているのかなどを分析することができます。

これらは日常業務の記録として日々収集されるデータとなります。

●目的に応じて集めるデータ

売上データやアクセスデータのように自然に集まるものに対して、アンケートデータのように、お客様がお店をどのように思っていて、どのように評価しているか、などはお客様に尋ねてみないとわかりません。このようにはじめから分析を目的として集めるデータもあります。

昨今は、ネットで安価にアンケートが実施できるようになったため、すぐに1,000、2,000、といった単位でデータを集めることが可能となり、アンケートデータがビッグデータ化してきています。

これらのデータから何を明らかにすればビジネスに役立つと言えるかを考えることが、ビッグデータの活用の第一歩になります。

データ分析の手法は大きく分けて4種類ある

上記のように集まったデータを分析する手法を大別すると、1つの変数に注目する「要約」と、複数の変数に着目する3つの多変量解析手法群にまとめることができます。

●要約

要約とは、日常的に最もよく使われる1つの変数に注目する手法です。

例えば、売上データを元に
「1日平均どれくらい売れているのか」
「今月はどれくらい売れたのか」
など、データを1つの<かたまり>にまとめる方法です。

●関係性

売上データから「1日の平均値を出す」という「要約」手法は、売上高に焦点を絞っています。実際の売上データには、商品名や商品単価などの商品データも入力されています。最近のPOSデータでは、購入者の性別などの属性データも同時に入力されています。これらの項目を用いて、商品別の売上や、購入者の性別の売上などを分析する手法が「関係性分析」です。

実際のビジネスデータ分析では、要約と関係性分析がよく利用されています。皆さんもエクセルなどの表計算ソフトを用いて、分析を試みた経験があると思います。

●分類

データ件数が増えると、それらをまとめてグループ化したいということがしばしば起こります。

マーケティングを例に取ると、仮に10万人のお客様がいたとして、それぞれ個別に対応することが理想ですが、コスト面から現実的ではありません。そこで「どの顧客とどの顧客の購買傾向が似ているのか」をつきとめ、ある程度似たお客様をまとめてからマーケティングを行うことが現実的な施策となります。

例えば、スーパーの生鮮食品の売上データから、
・「じゃがいも」と「にんじん」を好む購入者グループ
・「白菜」と「えのき茸」を好む購入者グループ
という傾向が仮にあったとすると、これらの買い方が似ている人たちの顧客IDをまとめて分類していく手法となります。

●縮約

データ件数が増える時と同様に、変数が増えてそれらをまとめたい、ということがしばしば起こります。たとえば「どの商品とどの商品の買われ方が似ているのか」を知りたい、というケースです。

例えば上記と同様の、スーパーの生鮮食料品の売上データを元に、
・「じゃがいも」を「にんじん」と「カレールー」品目グループ
・「白菜」と「えのき茸」と「鍋つゆ」品目グループ
という形にまとめる手法です。

それぞれのグループをカレーグループ、鍋グループと名付け、各グループの商品をユーザーがどのように購入しているかを分析する手法です。

分類や縮約は、グルーピングの対象となるユーザー属性や品目が2,3種類であれば、人間の感覚である程度までは分かるかもしれません。しかし、実際のデータは何十、何百と商品の種類があります。これらのデータを感覚だけで判断することは困難なので、ビッグデータの分析手法を用います。

次回からは、それぞれの分析手法についてより具体的に解説をしていきます。

村西重厚

BBT大学院本科 修了生
データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター
一般社団法人起活会 代表理事
1972年 兵庫県神戸市出身
工学部機械科卒業後、メーカーで生産技術部門に従事。
その後、営業部門を経て新規事業部門でWEB事業を立ち上げる。
新規事業の立ち上げ時に経営知識の必要性を感じ、2013年にBBT大学院に入学。
2015年MBA取得。MBA取得後、ベンチャー企業に転職し、営業、マーケティング、資金調達などに携わる。
2017年より、検索ビッグデータ分析を元に企業戦略の立案・推進に携わる一方で、一般社団法人起活会を立ち上げ、起業家支援を行っている。
趣味は登山、クライミング、ギター。

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