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業界ウォッチ 2019/06/24

教員のちょっと気になる「世界スマートフォン・PC市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

中国通信機器の最大手であるファーウェイ(Huawei、華為技術)が、米中貿易摩擦の悪化にから、米商務省から禁輸措置対象リストに入れられるといった制裁の影響を大きく受けています。先日(6/17)、同社は、スマートフォンの海外販売4割減、減産4000万台となる見通しを示しました。

ファーウェイは、近年通信機器大手として世界的に存在感を高めており、ファーフェイ向けに電子部品を納入してきた企業にも大きな影響がありそうです。

確かに、ファーウェイの存在感は高い印象がありますが、スマホ分野でどのくらい伸びていて、どのくらいのシェアを占めているのでしょうか。ファーウェイ向けに部品等を供給していた企業にはインパクトが大きそうですが、そもそもスマホ市場自体はどのくらいの規模で推移しているのでしょうか。スマホ以外のタブレットPCなどは、伸びていればスマホの影響は少なくて済むのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、世界のスマートフォンの出荷台数の推移を見てみます。2007年は約1.2憶台でしたが、そこから増加トレンドで‘10年以降増加ペースが加速し’16年に約14.7億台となりました。これをピークに出荷台数が減少トレンドに転じ、’18年には約14.0億台となっています。メーカー別にみると’12年以降、サムスン、アップルが2強という状態が続いていますが、出荷台数は‘13年以降横ばいとなっています。’15年頃からファーウェイやOPPO、シャオミなどの中国スマホの割合が高まっており、’18年のファーウェイの出荷台数は20.6億台と、アップルの20.8億台に匹敵するほどにまで伸びていることが分かります。

次に、スマホの伸びが鈍化する一方、タブレットPCが伸びているのかどうか確認してみます。

世界のデスクトップPC、ラップトップPC、タブレットPCの販売台数の推移を見てみると、デスクトップは‘10年から減少トレンドが続いていることが分かります。ラップトップは’16年まで減少トレンドでしたが、そこから下げ止まり、横ばい~微増トレンドに転換しています。タブレットPCは、‘10年に約0.2億台でしたが、’14年に約2.3億台と10倍近くまで急増しましたが、そこから減少トレンドに転じ、’18年にはラップトップを下回ることが予想されています。

こうしてみると、スマホ、タブレットPCなど、これまでの増加ペースから、‘15~16年頃を境に減少トレンドとなっていることが分かります。スマホ・タブレットなどはライフスタイルとして定着した感もあり、市場拡大期から安定~成熟期に入っていると言えそうです。

半導体等の部品企業は、ファーウェイの減産などの短期的な影響は大きいかもしれませんが、それだけでなく長期的にマイナストレンドに向かいつつある構造変化の影響も大きいのではないでしょうか。

新たな事業機会は、スマホ・タブレット等がインフラ化したという前提のサービス構築や、それ以外のIoT等の新たなデバイス等の市場から見出すことが必要になりそうです。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)