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MBAダイジェスト 2019/07/04

ビッグデータ分析(5)関係性分析でデータを探索する



執筆:村西重厚(BBT大学院MBA本科修了、データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター)
対象科目:ビッグデータ分析(豊田 裕貴 ビジネス・ブレークスルー大学大学院 客員教授、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授)

前回はデータ分析の第一歩である「要約分析」の例として、スーパーの顧客アンケートデータの分析に取り組み、品質や品揃えなど、お客様の満足度について、概要を掴むことができました。

しかしデータの要約のみに基づいて、単に満足度の低い項目から対策をすると、判断を誤る可能性があります。

今回はより確度の高い判断をするために、お客様に満足度だけでなく重要度を答えてもらい、満足度と重要度の関係性を調べる「関係性分析」についてご紹介します。

関係性分析とは

まず、関係性分析の「関係」とは何を示すのかを考えていきましょう。

下図は、
y:望ましい結果
x1、x2、x3 :原因となる要素
のイメージしたものです。

スーパーの満足度調査のアンケートに置き換えてみましょう。

望ましい結果<y>は、この「お店に来たいという思い」ですね。それに対して原因となる要素<x1>は「食品の品揃え」、<x2>は「食品の品質」などと置くことができます。

仮に要素<x1>である、「食品の品揃え」の満足度が高くなると、「またこのお店に来たい」という思いが高まるとすると、xからyの矢印が「刺さる」状態と言えます。

逆に、要素<x2>である、「食品の品質」の満足度が高くなっても、「お店に来たい」という気持ちが高まらないようであれば、xからyへの矢印は「刺さっていない」、と考えられます。

この矢印の「刺さり具合」を分析することが「関係性分析」です。

重要度と満足度の関係

満足度を尋ねるアンケートの質問には品揃え、品質、商品陳列、などがありました。この時、同時に満足度だけでなく、それらをどれくらい重要視するのかを尋ねていました。

下表に「重要度」を要約し、「満足度」の結果と並べました。

この表を見ただけでは、どのような意味がわかりにくいですね。

そこで、「R」というデータ分析ツールを用いて、重要度を横軸に、満足度を縦軸にプロットしました。

このようなグラフはエクセルのような表計算ソフトでも出来なくは無いですが、データ分析ツール「R」を用いると、簡単にビジュアルデータを作成することができます。

グラフを見ていきましょう。
駐車場の広さや、生鮮食品品揃え、レジ対応など、顧客が重要視するものの満足度が高いですね。これらの「重要度」と「満足度」が高い右上のエリアは、このお店の強みと考えることができます。

一方で、右下のエリアは重要度が高く、満足度が低い、改善点と考えることができます。

望ましい結果である「満足度」と原因となる要素である「重要度」の関係性が見えてきました。ここからよりさらに「関係性」を深掘りしてみます。

データを分割し比較する

関係性をより深く見るために、このアンケートのユーザーデータを男女に分割し、性別ごとの重要度と満足度を比較しました。

表ではイメージが捉えにくいので、再び、「R」を用いて同様のプロットをしてみます。

グラフは左が男性、右が女性です。男性と女性では、違いがある項目と似ている項目がありました。

例えば駐車場の広さは男女でプロットの位置が異なります。駐車場の広さは男性が重要視していますね。一方でレジの対応については、男女ともにほぼ同じ場所にプロットされています。

このようにひとつの塊のデータを分割・比較し、違いと共通点を探すことで、具体的にどのような取り組みをするべきか、何から手を付けるべきかなどを考えることができます。

この表は男女で分割したものを分析しましたが、他にもお客様の年齢や午前と午後のような来店の時間帯など様々な分割の切り口があります。分割したデータを見比べ、プロット位置の違いと共通点を探索することで、例えば午前と午後で品物の陳列の位置を変えるなどといった、具体的な取り組み案を検討することができます。

このように「望ましい結果」に対して、どの要素が効いているのか、その要素は男女や時間帯によって違いがあるのか、などを繰り返し探索しながら分析をすることが、関係性分析の第一歩となります。

村西重厚

BBT大学院本科 修了生
データ・サイエンティスト株式会社 エグゼクティブ・ディレクター
一般社団法人起活会 代表理事
1972年 兵庫県神戸市出身
工学部機械科卒業後、メーカーで生産技術部門に従事。
その後、営業部門を経て新規事業部門でWEB事業を立ち上げる。
新規事業の立ち上げ時に経営知識の必要性を感じ、2013年にBBT大学院に入学。
2015年MBA取得。MBA取得後、ベンチャー企業に転職し、営業、マーケティング、資金調達などに携わる。
2017年より、検索ビッグデータ分析を元に企業戦略の立案・推進に携わる一方で、一般社団法人起活会を立ち上げ、起業家支援を行っている。
趣味は登山、クライミング、ギター。

※BBT大学院MBAプログラムの受講体験談はこちら