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MBAダイジェスト 2019/07/25

サプライチェーン経営論(2)サプライチェーンとバリューチェーンを理解する


 
執筆:村上昌也(BBT大学院MBA本科修了)
対象科目:サプライチェーン経営論(上原 修 ビジネス・ブレークスルー大学大学院 客員教授、米サプライマネジメント協会(ISM)日本代表理事)

企業経営とサプライ調達経営に共通する視点

サプライ調達に注力するサプライ調達経営と、企業経営とを比べると、共通する視点があります。それは、戦略的な視点です。

企業経営では、グローバルな視点が求められる一方、サプライ調達経営では、グローバルな調達が求められます。つまり、単に安いというだけではなく、全世界の最適地から良い物を調達するという事が求められています。

また、企業経営では、企業が社会に対して責任を持つ社会的責任があります。一方、サプライ調達経営でも、社会的責任のある調達が求められます。つまり、取引を開始、継続する基準として、財務や品質だけではなく、コンプライアンス(法令遵守)、人権、環境、労働安全といった様々な観点から、サプライヤーを評価する事が求められています。

他にも、企業経営では、災害などの緊急事態発生時の損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図る事業継続的視点(BCP)が大切です。一方、サプライ調達経営でも、継続的に安定した調達を続ける安定調達の確保(SCP)が大切なポイントとなっています。

他にも、企業経営とサプライ調達経営は、戦略的な視点の共通点があります。

サプライチェーンとよく似た概念のバリューチェーン

サプライチェーンとよく似た概念にバリューチェーンがあります。

バリューチェーンは、マイケル・E・ポーター教授が提唱した企業の競争優位の源泉を考える上で役立つ、基礎的なフレームワークです。具体的には、自社が顧客に価値を提供するためにどのような活動をしているか、それぞれの活動に分解して、競争の源泉を分析します。

例えば、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスなどの主活動があります。一方、主活動を支援するものとして、調達、技術開発、人事・労務、全般管理などの支援活動があります。主活動と支援活動が交互に依存し、企業の価値を生み出しています。

一方、サプライチェーンマネジメントも、企業の枠を超えて調達から販売までの事業者がつながって、供給の最大化と効率化を図ります。サプライチェーンもそれぞれの事業者が交互に依存し価値を生み出しています。

要するに、バリューチェーンは一企業に着目した考え方、サプライチェーンは、一企業だけでなく、外部のステークホルダーを含めた考え方と言えるでしょう。

サプライチェーン・マネジメントのポイント

サプライチェーンマネジメントを構築する際のポイントはどこにあるのでしょうか。

一言で言えば、「早くする」という事です。つまり、リードタイムを短くすれば早く市場に出すことが可能になり、早く売れるようになります。

リードタイムの短縮は、様々なステークホルダーとの調整が必要になりますが、他社が追随できないようなサプライチェーンを築くことができれば、競争優位性を築くことができます。そして、競争優位性は、全てのステークホルダーの利益となります。

伝統的な企業では、情報が順番に企業を通して伝達されるため、リードタイムの短縮に限界がありました。一方、サプライチェーン化された企業間関係では、最終消費者に至るまで、様々な企業が参加していますが、情報やリスク、需要の動向等も共有され、物を流していくので、最大限の効率化が図られ、リードタイムを短縮することが可能となります。

言い換えると、サプライチェーンマネジメントとは、物流と商流と金流(キャッシュフロー)をきめ細かいリアルタイムの情報で結びつけている、と言えるでしょう。

村上昌也

BBT大学院本科 修了生
1975年生、和歌山県東牟婁郡出身。
高校卒業後、IT業界でキャリアをスタート。
コンサルティング会社勤務時代、開発プロジェクトのテクニカルリーダーを務め、顧客企業の業績向上に寄与。
その後、複数の企業に勤務し、企業向けシステムの企画・開発・導入支援、自社のIT企画等、様々な立場から企業の課題解決に関わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得。
MBA取得後に転職し、事業部長として事業活動推進のみならず、中堅・若手の育成にも情熱を持って取り組んでいる。
趣味はキーボード・ピアノ演奏。ロックバンドコンテストでの受賞歴を持つ。最近はジャズピアノに傾倒し、休日は仲間とセッションを楽しむ。

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