マネジメントとビジネストレンドの知見を得るMBAメディア

タグから検索する

MBAダイジェスト 2019/08/08

サプライチェーン経営論(4)クラルジック・アプローチで考える購買調達戦略

『MBAダイジェス』シリーズでは、国内初・最大級のオンラインMBAである「BBT大学院」、ならびに2つの国際認証を持つ「BOND-BBT MBAプログラム」の修了生が、両校で学ぶMBA科目のエッセンスをまとめ、わかりやすく紹介していきます。将来的にMBAの取得を検討している方や、MBAの基礎知識をインプットしたい方はご活用ください。



執筆:村上昌也(BBT大学院MBA本科修了)
対象科目:サプライチェーン経営論(上原 修 ビジネス・ブレークスルー大学大学院 客員教授、米サプライマネジメント協会(ISM)日本代表理事)

財務と市場性の視点で調達品の特性を理解する

前回は、サプライ市場を理解するポイントをお伝えしました。
いよいよ今回から購買調達戦略に入っていきます。

購買調達戦略を考える際、クラルジック・アプローチに沿って考えると、最適な絵を描くことができます。クラルジック・アプローチとはどういったものか、詳しく見ていきましょう。

クラルジック・アプローチとは、クラルジック博士が考案した、マトリクスで調達品を分類し、そこから戦略を考えるアプローチです。マトリクスの縦軸・横軸を以下のように定義しています。

縦軸:財務的影響(調達品購買額の規模)
年間購買額が少ない(Low)、年間購買額が多い(High)

横軸:サプライ市場性(供給市場の複雑性)
市場から簡単に調達できる(Low)、市場からの調達が複雑(High)

上記の2軸で4パターンに分類すると、各象限での調達品特性と基本的な方針が同時に理解できます。

年間購買額が少なく、市場から簡単に調達できる=Non-critical items
年間購買額が多く、市場から簡単に調達できる=Leverage items
年間購買額が多く、市場からの調達が複雑=Strategic items
年間購買額が少なく、市場からの調達が複雑=Bottleneck items

クラルジック・アプローチで理解する調達品特性と基本的な方針

それでは、調達品の特性と基本的な方針を具体的に見ていきましょう。

《Non-critical items》
年間購買額が少なく、市場から簡単に調達できる調達品です。
どこにでもある調達品なので、「簡易購買作業」が方針となります。
また、少しでも数量をまとめる規模の経済性を追求したり、製品の標準化を推進することも重要なポイントとなります。

《Leverage items》
年間購買額が多く、市場から簡単に調達できる調達品です。
「伝統的資材管理」が方針となります。
年間購買額や購入量が多いので、そこを理由にして、サプライヤーとの関係を戦略的提携関係に発展させる事が重要なポイントとなります。

《Strategic items》
年間購買額が多く、市場からの調達が複雑な調達品です。
一番大切な戦略的調達品となるため、「戦略的調達経営」が方針となります。
例えば、サプライヤーと戦略的提携関係を築き、その関係を維持します。また、希少資源などは、代替供給源や代替品の探索により、サプライリスクを軽減できないか検討することも重要なポイントとなります。

《Bottleneck items》
年間購買額が少なく、市場からの調達が複雑な調達品です。
サプライヤーが少なく非常にリスクが高い調達品となりますので、もっと良い供給源を探す「供給源発掘調査」が運営方針となります。
例えば、製品を単純化し新規サプライヤーを発掘する事が重要なポイントとなります。また、安全在庫を確保し供給リスクをヘッジしておくことも有効です。

クラルジック・アプローチの活用

クラルジック・アプローチは購買調達戦略を考える上で、パワフルなツールです。しかし、それ以外にも色々な活用方法があります。最後に、クラルジック・アプローチの活用方法をご紹介します。

《人事ローテーションで活用》
入社年度や技能レベルに合わせて、各象限を人事ローテーションします。
例えば、「Non-critical items」は、入社~3年目まで担当し、その後、「Leverage items」を担当します。最終的には、「Strategic items」を担当するような人事ローテーションです。

《購買契約条項やサプライヤーの見直し》
各象限別に調達品の特性に合うよう購買契約条項を見直します。また、サプライヤーの分類を見直す場合にも役立ちます。

《総合商社の起用》
各象限内の高額品を対象にして総合商社と交渉すると、一括契約できる可能性があります。

これまで見てきたように、財務と市場性の視点で考えるクラルジック・アプローチを活用すると、購買調達戦略で最適な絵を描くことができます。

実務で購買に関わっている人は、クラルジック・アプローチを活用して、購買調達戦略の最適な絵を描いてみてください。また、実務で購買に関わっていない人は、ビジネスパーソンの一般教養として、ぜひ、クラルジック・アプローチを押さえておいてください。

村上 昌也

BBT大学院本科 修了生。
1975年生、和歌山県東牟婁郡出身。
高校卒業後、IT業界でキャリアをスタート。
コンサルティング会社勤務時代、開発プロジェクトのテクニカルリーダーを務め、顧客企業の業績向上に寄与。
その後、複数の企業に勤務し、企業向けシステムの企画・開発・導入支援、自社のIT企画等、様々な立場から企業の課題解決に関わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得。
MBA取得後に転職し、事業部長として事業活動推進のみならず、中堅・若手の育成にも情熱を持って取り組んでいる。
趣味はキーボード・ピアノ演奏。ロックバンドコンテストでの受賞歴を持つ。最近はジャズピアノに傾倒し、休日は仲間とセッションを楽しむ。


※BBT大学院MBAプログラムの受講体験談はこちら