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MBAダイジェスト 2019/08/15

サプライチェーン経営論(5)グローバル経営(調達)を担うグローバル人材とは?



執筆:村上昌也(BBT大学院MBA本科修了)
対象科目:サプライチェーン経営論(上原 修 ビジネス・ブレークスルー大学大学院 客員教授、米サプライマネジメント協会(ISM)日本代表理事)

グローバル経営(調達)は人材確保と育成が成功のカギ

前回は購買調達戦略を考える際のクラルジック・アプローチを紹介しました。今回は、グローバルをテーマに経営や調達のポイントを押さえていきましょう。

経営の重要な資源として「ヒト・モノ・カネ・情報」があります。グローバル経営では特に「ヒト」、つまり、人材・タレントが最重要で必須です。裏を返せば、多くの企業は「ヒト」で失敗しているとも言えます。

最適な戦略を立案し、経営資源も十分確保できているのに、いざ実行しようとすると「ヒト」のトラブルが発生して戦略が頓挫するという事は珍しいことではありません。

そもそも、国内規模の経営と地球規模の経営であるグローバル経営は、どういった所が異なるのでしょうか。

まずは、グローバル経営の特徴から見ていきましょう。

グローバル経営(調達)の特徴とは?

グローバル経営の特徴として、複雑性が挙げられます。グローバル経営は、日本国内だけでなく、地球規模で最適な事業を追求しています。

グローバル経営では、世界の各拠点の人材に経営理念やビジョンを共有・浸透させる必要がありますが、世界には多種多様な価値観が存在するため、経営理念やビジョンを共有・浸透させる事は簡単ではありません。

一方、グローバル調達も、A国とB国から購入するだけという単純なものではありません。複数の国を相手に業務を行う必要性があるため、複雑性が増しています。これは、地球規模で最適化が行われた結果、サプライヤーも地球規模となり、事業の重要課題であるサプライヤーとの関係構築において、複数の国の人材との意思疎通が必要となったためです。

このように、複雑性が増しているため、明確なグローバル経営戦略に基づき、グローバル操業・生産戦略、グローバル調達物流戦略と、一致・一貫して落とし込み、実行できる人材の重要性が高まってきました。そして、それに伴い、人材に高度な知識やスキルが求められるようになってきました。

また、上記のような人材を早急に育成することが喫緊の課題となっています。

ただし、大企業ほど社員教育には投資意欲が見られますが、その実績は乏しいのが現状です。購買・SCM教育においても、部門内のOJTが一般的で、グローバル視点のグローバル・サプライマネジメント教育までには達していないところが大多数です。

グローバル経営(調達)を担うグローバル人材に求められる知識やスキル

では、グローバル経営(調達)を担うグローバル人材には、どういった知識やスキルが求められているのでしょうか。講義では、以下の5つが紹介されています。

1.異文化対応能力
2.イノベーションに関する知識
3.人的資源開発力
4.環境経営の知識
5.価値分析・価値工学の知識

《異文化対応能力》
現地の言葉を理解し、現地社員やステークホルダーとの意思疎通を容易にするだけでなく、異文化を柔軟に受け入れる能力です。異文化対応能力があると、多様な考え方、実行力、反省力を幅広く理解して指導力を発揮し、グローバル化へ導く事ができます。

《イノベーションに関する知識》
新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、人・組織・社会に大きな変革をもたらすイノベーションに関する知識です。海外では、現地固有の消費動向、需要構造や趣向、民族意識等から日本では感じ取れない発想・提案を受け、対応・発展させる事が大変重要となります。

《人的資源開発力》
社員のスキルや知識を拡大して育てる人的資源開発は、海外で現地採用する際の重要なポイントとなります。

《環境経営の知識》
企業と社会が持続可能な発展をしていくために地球環境と調和した企業経営を行うのが環境経営です。サプライチェーン全体にこれらの意識を浸透させる役割を担います。

《価値分析・価値工学の知識》
価値とは、製品・サービスを利用する顧客側が判断します。企業側は顧客の立場から価値改善を図るよう努力し、グローバル市場における製品仕様に関する知識を強化する事が重要となります。

企業が成長しようとすれば、グローバル経営やグローバル調達の必然性は強くなります。また、それを担う事のできるグローバル人材の価値も高まります。上記5つの知識やスキルを参考に、あなた自身の価値を高めていってください。

村上 昌也

BBT大学院本科 修了生。
1975年生、和歌山県東牟婁郡出身。
高校卒業後、IT業界でキャリアをスタート。
コンサルティング会社勤務時代、開発プロジェクトのテクニカルリーダーを務め、顧客企業の業績向上に寄与。
その後、複数の企業に勤務し、企業向けシステムの企画・開発・導入支援、自社のIT企画等、様々な立場から企業の課題解決に関わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得。
MBA取得後に転職し、事業部長として事業活動推進のみならず、中堅・若手の育成にも情熱を持って取り組んでいる。
趣味はキーボード・ピアノ演奏。ロックバンドコンテストでの受賞歴を持つ。最近はジャズピアノに傾倒し、休日は仲間とセッションを楽しむ。


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