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業界ウォッチ 2019/09/09

教員のちょっと気になる「世界の都市の安全性ランキング」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「世界の都市の安全性ランキング」を取り上げてご紹介いたします。

先日(8月29日)、英紙エコノミストの調査部門(EIU、Economist Intelligence Unit)が世界の都市の安全性に関する調査結果を公表しました。同調査では、安全性を指数化してランキングで公表しており、2019年は東京が1位で、大阪が3位にランクインしています。同調査は、世界60都市を対象として、2015年から隔年で実施されており、東京は3回連続(2015年、17年、19年)で首位となっています。

東京が世界一安全な都市といわれて、ピンとくる人もいれば、今ひとつ実感がわかない人もいるかもしれません。それでは、実際にどの分野で安全性をランキング化しているのか、どの都市と比較して東京・大阪の安全性が高いと評価されているのか、他の都市・地域の安全性を見て何らかの傾向があるのか、実際にランキング内容を見てみたいと思います。


まず総合スコアランキングを見てみます。トップが東京で、2位シンガポール、3位大阪、5位アムステルダム、5位シドニーと続きます。上位20都市の指数化されスコアだけを見ると大きな差がないように見えます。

それでは、安全性を「サイバーセキュリティ」「医療・健康環境の安全性」「インフラの安全性」「個人の安全性」の分野ランキングで、どのような違いがあるのか見てみます。

「サイバーセキュリティ」は、「プライバシーポリシー」、「サイバー脅威への住民の意識」、「ローカル環境のマルウェア脅威」、「パソコンのウィルス感染率」等から指数化されています。ランキングは、東京1位、シンガポール2位、シカゴ3位と続いています。上位都市全体を見ると、北米の都市が上位に来ていることが分かります。

「医療・健康環境の安全性」は、「環境政策」、「人口1000人当たりの病床数」、「大気の質」、「水質」、「平均寿命」等から指数化されています。ランキングは、大阪1位、東京2位、ソウル3位、アムステルダムとストックホルムが同点4位となっており、アジア太平洋・欧州の都市が上位となっています。

「インフラの安全性」は、「交通安全施策の実施レベル」、「自然災害による死亡者数」、「交通事故死亡者数」、「災害保険」等から指数化されています。ランキングはシンガポール1位、大阪2位、バルセロナ3位、東京4位と続いています。

「個人の安全性」は、「警察の関与レベル」、「軽犯罪発生率」、「汚職のレベル」、「テレ攻撃発生件数」等から指数化されています。シンガポール1位、コペンハーゲン2位、香港3位、東京4位と続いています。また、アブダビ11位、ドバイ12位と、中東の都市がトップ20にランクインしています。

このように見てみると、全体的にアジア太平洋地域の都市が上位に来ており、北米の都市がそれほど上位にないことが分かります。

一方、EIUは、「都市の安全性と地理的位置に統計的な関連性はない」と指摘しています。確かに、アジア太平洋地域の主要都市が安全性上位だからといって、アジア太平洋地域が安全だとは言えないと思います。

ただ、いわゆる「欧米先進国」の都市よりも、アジア太平洋地域の先進都市の安全性が高くなっている点が注目に値すると思います。アジア、北米、欧州といった「地域」で見るのではなく「都市」で見ると、従来の「先進国」、「新興国」といった区分と異なる世界の見方ができるのではないでしょうか。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)