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MBAダイジェスト 2019/09/12

リーン・スタートアップのビジネスモデル研究(1)独立・起業をイメージできる状態になろう


 
執筆:岸原直人(BBT大学院MBA本科修了、パナソニック株式会社 デジタルマーケティング推進室 課長、アプライアンス社事業開発センター ゲームチェンジャーカタパルト Versatile Player)
対象科目:リーン・スタートアップのビジネスモデル研究(谷中修吾 教授)

はじめに~この講座で学べること

スタートアップの可能性が広がる時代環境の中、安全・着実に独立・起業を実現する上で、リーン・スタートアップの実践手法は強力な武器となります。 本講義は、リーン・スタートアップの体得にフォーカスし、理論とプラクティス分析に基づく実践型の講義を展開し、受講後には、体感的に各自の独立・起業をイメージできる状態になることを目的としています。

 

シリコンバレー発 リーン・スタートアップの起源は日本のトヨタ生産方式!?

リーン・スタートアップと言えば、2012年初版のエリック・リース氏の著書『THE LEAN STARTUP』により紹介され、世界的に注目されるようになった概念です。

この本では、「なぜスタートアップは失敗するのか?」という根本的な課題があげられています。先の見えない不確実性が高い現代において、スタートアップは新たな価値を生み出さなければ存在意義が認められません。そのため当たって砕けろ、の姿勢で取り組む例が多いです。しかし本当にそれでいいのか?スタートアップの成功確率を高めるような形式知があるはず……。

そこでエリック氏が注目したのが、無駄を徹底的に排除した トヨタ生産方式 “Lean Manufacturing”です。この手法を事業開発の手法に応用して、スタートアップの成功確率を高める。すなわち、無駄を徹底的に取り除いた起業プロセス、それがリーン・スタートアップです。

 

リーン・スタートアップのプロセスとは?

スタートアップが何か新しい製品、サービスを立ち上げるとき、ありがちな例として最初から高品質のプロトタイプを作ろうとしてお金と時間を使ってしまい、自分にとって都合のいい方法でフィードバックを測定し、根本仮説が検証される前にネクストステージに進もうとしてしまい、お金も時間もかけた挙句、成果が出ないまま頓挫してしまう例が多々あります。これは大変ムダです。

リーン・スタートアップでは具体的には、

・構築する(Build)
・計測する(Measure)
・学習する(Learn)

のプロセスで、無駄を徹底的に取り除きながら、顧客のフィードバックを得て、データを基に仮説検証し、最小の時間とコストで成果を出すことが、基本になります。

 

リーン・スタートアップのサイクル

上述したプロセスをもう少しブレイクダウンしていきましょう。

構築する(Build)とはビジネスアイデアをカタチにするプロセスです。ここでは Minimum Viable Product (MVP)=実用最小限の製品(最低限の機能を持つ製品)を、まず作成し、人々に使ってもらうことから始めます。

上述したように自分たちのビジネスアイデアについて、人々が価値を認めてくれるかどうかが検証されていない段階で、完璧な製品を作り上げてコストをかけるのはムダです。まずは目に見えるもの、動くものを作ってアーリーアダプターに使ってもらいフィードバックを得ることから始めていきます。 MVPを「最少労力で、最短時間で」作成することが、投資のムダを省くのです。

計測する(Measure)とは、顧客に製品を提供してフィードバックを得るプロセスであり、以下の3つの指針が不可欠です。

・Actionable:原因と結果の関係が明確
・Accessible:測定基準が煩雑なものではなく、開発者で共有可能なものであり、わかりやすいもの
・Auditable:データが信頼できるものであり、第三者検証が可能なものであって、測定結果を踏まえた意思決定の根拠として説明可能なもの

最後に、学習する(Learn)とはデータに基づいて仮説を検証するプロセスです。

ここでは、

・根本仮説を検証する
・検証ができた場合には、有効な学習が果たされたものとして、次の成長・スケール段階に進む
・検証できなかった場合には、この段階で方針転換(Pivot)を行う

ことが必要です。

以上のように 構築・計測・学習という3段階のサイクルからなる無駄のない起業プロセスがリーン・スタートアップです。今回の連載では、前半でリーン・スタートアップの基本的な理論を学習し、後半ではリーン・スタートアップにより、実際にどのようなビジネスケースが生まれたかを紹介していきますので、ぜひ楽しみにしてください!

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岸原直人

BBT大学院本科 修了生
パナソニック株式会社
デジタルマーケティング推進室 課長
アプライアンス社事業開発センター ゲームチェンジャーカタパルト VersatilePlayer

1971年埼玉県所沢市生まれ
早稲田大学卒業後、松下電器産業株式会社(現:パナソニック株式会社)に入社。国内外営業・マーケティング、海外広報を経て、2012年から2015年まで米国地域統括会社でブランドマーケティングに従事。帰国後は本社経営企画での勤務後、2017年より新設されたデジタルマーケティング推進室で、グループ全体のデジタルマーケティング化を推進中。また2018年からは、「社内複業制度」を活用し、家電部門の新規事業創出組織であるゲームチェンジャーカタパルトに参画。

大学時代始めたアメリカンフットボールに今も夢中。米国勤務時代は、全世界最大規模のスポーツイベントと言われるスーパーボウルを、『一生の一度のチャンス』と捉え、1席数十万円のチケットを購入して観戦。また、現在も40歳以上のメンバーで構成される『シニアアメリカンフットボール』のチームに所属し、プレーを継続。アメフト以外でも、トレイルランニングに熱中。毎年複数の大会に参加している。また「トレーニングで街創り」というビジョンを掲げる『Daddy Pak Training』に所属し、日本初の都市型障害物レースイベントを行う等、社会起業にも活動の幅を拡大。大前学長の「やりたいことは全部やれ!」という教えをまさに実践している。

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