業界ウォッチ 2019年9月16日

教員のちょっと気になる「ドライブレコーダー市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「ドライブレコーダー市場」を取り上げてご紹介いたします。

最近ドライブレコーダーの販売が好調なようです。昨今の「あおり運転」問題が大きく影響しているそうです。今年の6月の、常盤自動車道で起きたあおり運転殴打事件では、テレビ等で、ドライブレコーダーの記録映像が流され、大きな話題を呼びました。その前には、2017年6月に、東名高速夫婦死亡事故もあおり運転の影響として、報道等で大きな話題となりました。

それでは、ドライブレコーダーの伸びは、本当にあおり運転の影響が大きいのでしょうか。また、伸びているとしたら、どのくらい伸びていて、どういうタイプのドライブレコーダーが伸びているのでしょうか。価格帯に変化はあるのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。


まず国内ドライブレコーダーの出荷台数推移を見てみます。2016年度から四半期ごとに、2019年4-6月期までの推移を見ると、2017年7-9月期までは40万台程度で推移していましたが、’17年7-9月期には一気に約85.8万台規模へと2倍近くに跳ね上がっています。これはやはり、先ほどの’17年6月の東名高速夫婦死亡事故の影響とみられます。

つぎに、ドライブレコーダーの平均単価の推移を見てみると、’18年9月までは1万3千円台だったものが、’18年10月からは1万4千円台へと上がっています。’19年2月には1万5千円台を超え、’19年3月には1万6千円台と、1年で平均単価が二千円近く上がっていることがわかります。報道等によると、これまでは前方の映像を記録するモデルから、後方の映像も記録するリアカメラモデルの需要が伸びたことが要因だと指摘されています。

実際に、前後カメラ搭載モデルの販売が伸びており、2017年には1%程度の割合だったものが、2018年には18%にまで伸びています。

こうしてみると、ドライブレコーダーはやはり、あおり運転の影響が大きいことがわかります。ただ一方で、ドライブレコーダーは、いざという時のリスク管理だけでなく、旅行・ドライブでの楽しみの記録として利用する人も増えているとの指摘もあります。

ネガティブな事象に対するリスク管理のニーズが増えるのは、良いこととは言えませんが、大切なことではあります。ただそれだけではなく、人の楽しみやポジティブな要素としての活用の増えて欲しいものですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)