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実践ビジネス英語 2019/10/12

仕事に効くビジネス英語講座〈第6回〉ジョブズ流!相手を唸らせる英語プレゼン術



執筆者:PEGL事務局清水

皆さんは「これは素晴らしい」と唸らされるビジネス・プレゼンテーションを聴いたことがあるでしょうか。米Apple社の前CEO(最高経営責任者)だったスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏も、優れたプレゼンターの1人であったことは、今や世界中で広く知られていますね。

今回のコラムでは、改めて数々の名プレゼンや名スピーチを残した彼のパフォーマンスの中から、2007年に初代iPhoneを新製品発表したときのプレゼンを、英語とビジネスの観点から見てみましょう。

『英語のプレゼンテーション スキルアップ編』(研究社)が同プレゼンの冒頭の部分を分析しています。本コラムの文末にある【参考】に同プレゼンの英文全文と、プレゼンのYouTube動画を同時に視聴できるURLを記載しました。プレゼンのYouTube動画は、聴衆の興奮度合いが分かる高揚感あふれるものです。同URLもぜひ参考にして下さい。

それでは、実際にプレゼンのYouTube動画と英文を見ていきましょう。同プレゼンの冒頭の部分の流れは、以下の1~4のようになっています。

1.自分の感動を聴衆に伝える

自分の感動を聴衆に伝える ⇒ その感動が聴衆に伝染し聴衆も感動する


発表会場の舞台の袖から中央に向かってゆっくり歩いてジョブズ氏が登場し、第一声を発します。

This is a day I’ve been looking forward to for two and a half years.
(今日はこの2年半の間、ずっと楽しみにしていた日です。)

これから新製品発表のプレゼンを始めるわけですが、始めるにあたり、ジョブズ氏自身がとても興奮していることを聴衆に伝えます。

『英語のプレゼンテーション』によると、第一声から、ジョブズ氏のプレゼンのスキルが表れています。どういうことかと言うと、ジョブズ氏は聴衆を興奮させるために、まず「自分自身がとても感動している」ということを伝えています。ジョブズ氏のこの第一声からは「聴衆に新製品をお披露目できる喜び」さらに「新製品をお披露目する感動を聴衆と分かち合える喜び」が伝わって来ます。この第一声には、舞台にいるジョブズ氏と聴衆に一体感をもたらす効果があります。

聴衆は第一声からジョブズ氏のプレゼンに引き込まれ、気持ちが高揚しています。仮に、プレゼンテーションの第一声が次のような平坦な文句だったとしましょう。

Today, we’re introducing iPhone to you.
(本日、皆さんにiPhoneをご紹介します。)

聴衆をこれほど盛り上げて、興奮させることはできなかったでしょう。おそらく、聴衆の気持も平坦なままで、動画ほどまでに聴衆が盛り上がりを見せることもなかったでしょう。そして、新製品発表会の盛り上がりは当然のことながらAppleと製品のイメージアップへとつながり、販売数量や売上高にも影響してくるものと思われます。

2.Apple社の実績をアピールする

これまでに、Apple社が画期的な製品を世の中にいくつも送りだして来た実績をアピールする ⇒ 聴衆はApple社に対して“カリスマ企業”としてのイメージを抱く


ジョブズ氏は続いて、1984年のMacintoshの発売から2001年のiPodの発売まで、Apple社の成功の歴史を語ります。Apple社がこれまでに、コンピュータ産業と音楽産業に大変革をもたらしたことをここでアピールします。

1984, introduced the Macintosh.
It didn’t just change Apple.
It changed the whole computer industry.
In 2001, we introduced the first iPod, and it didn’t just change the way we all listen to music, it changed the entire music industry.

(1984年、Macintoshを発売しました。
それはApple社を変えただけではありません。
コンピュータ産業全体に変革をもたらしました。
2001年、Apple社は初代iPodを発売しました。iPodは、単に、音楽をどう聴くかを変えただけではなく、音楽産業全体を変えました)

コンピュータ産業と音楽産業に大変革をもたらしたApple社という企業に対して、聴衆は“カリスマ企業”であるとのイメージを抱くようになります。その流れで次のように続けます。

Well, today, we’re introducing three revolutionary products of this class.
(そして、今日はこのように変革をもたらす製品を3つ紹介しましょう)と今日のプレゼンの本題に入ります。

3.今回発表する製品の特徴を紹介

今回発表する製品の特徴を紹介 ⇒ 聴衆は今回の製品に対しても大きな期待を持ち、気分がさらに高揚する


ジョブズ氏は今回の新製品発表で、単に製品ではなく革命的な製品(revolutionary products)と称して3つ紹介しています。これらは3つの異なるデバイスではなく、3つが一体となって一つのデバイスとなっていることを述べています。

The first one is a widescreen iPod with touch controls.
The second is a revolutionary mobile phone.
And the third is a breakthrough Internet communications device.
So, three things: a widescreen iPod with touch controls; a revolutionary mobile phone; and a breakthrough Internet communications device.
An iPod, a phone, and an Internet communicator.
An iPod, a phone… are you getting it?
These are not three separate devices, this is one device,

(1つめはタッチパネル操作の大画面iPod。
2つ目は革命的な携帯電話。
そして3つ目は画期的なインターネット・コミュニケーションデバイスです。
タッチパネル操作の大画面iPod、革命的な携帯電話、画期的なインターネット・コミュニケーションデバイス。iPod、電話、インターネット・コミュニケーター。これらは3つのデバイスではありません。1つのデバイスです。)

4.製品名を紹介

製品名を紹介 ⇒ 聴衆の気分が最高潮に達する


ここで初めて、製品名を明らかにしています。製品名を明らかにするまでの導き方、すなわち、先に製品の特徴を述べ、それから製品名を発表する方法は、ここでは、聴衆の興奮の度合いをさらに引き上げています。

and we are calling it iPhone.
(我々はこの製品を「iPhone」と名付けました)

5.締めの言葉

締めの言葉 ⇒ Apple社のカリスマ性が頂点に達する


Today, Apple is going to reinvent the phone.
(本日、Apple社は電話を再発明しました)
と続け、Apple社のカリスマ性は頂点に達します。

お気づきの通り、ジョブズのプレゼンには、Apple社の製品を賞賛する自信と誇りに満ちた表現をたくさん使っています。特に形容詞にはおおげさとも思えるような表現を使っています。

例えばrevolutionary products(革命的な製品)breakthrough Internet communications device(画期的なインターネット・コミュニケーションデバイス)ジョブズ氏がこのような表現を使って商品を紹介すると、聴衆は歓喜の声をあげて拍手でジョブズ氏に応えます。このような大げさとも思えるような表現を聴いて、聴衆もすっかりその気になってしまいます。そしてrevolutionary(革命的)でbreakthrough(画期的)な製品が自分も欲しくなって来るのです。

このように、活気に満ちた表現を使うことは聴衆の購買意欲をかきたてるのにとても重要だと『英語のプレゼンテーション』では言っています。ジョブズ氏はそのような消費者心理をよく知りぬいたうえで、このような表現を使っています。

いかがでしたでしょうか。

ジョブズ氏のプレゼンには、聴衆の賛同と興奮を巻き起こす表現が巧みに使われています。聴衆の関心を一気に引き寄せるスキルが随所に使われています。「Smart Phone」という、iPhoneのような製品を意味するのに一般的に使っている名詞は1時間のプレゼンの中に9回(平均で約7分に1回という少ない頻度)だけ出てきます。「Smart Phone」は今でこそ一般名詞ですが、駆け出しの2007年ですので、一般聴衆にはそれがどんなものであるのか、ピンとは来ません。ジョブズ氏はなるべく「Smart Phone」という表現を使わないように心がけたと思います。それでいて、iPodを気に入ってもらって、すぐにAppleストアに足を運ばせ、iPodを購入してもらうことが新製品発表のプレゼンを行う目的です。

さて、皆さんが2007年当時のApple社のCEOだったとしたら、どのように初代iPhoneの新製品発表のプレゼンをするでしょうか?

【参考】
英語のプレゼンテーション スキルアップ編(最終アクセス:2019年9月19日)
http://www.amazon.co.jp/dp/4327452688
pp.26-30

iPhone Keynote Speech 2007 (最終アクセス:2019年9月19日)
http://genius.com/Steve-jobs-iphone-keynote-2007-annotated

※この記事は、ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講座「実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-」で毎週木曜配信中のメルマガ「グローバルリーダーへの道」において、2015年1月22日に配信された『今週のコラム』を編集したものです。


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ナビゲーター:清水 愛(しみず めぐみ)
PEGL[ペグル] 英語教育事務局 マーケティング/PEGL説明会、個別ガイダンス担当。2012年BBT入社。前職は海外留学カウンセラー。これまで6,000人を越えるビジネスパーソンと接し、日々ひとりひとりの英語学習に関する悩み解決に向き合いながら、世界で挑戦する人たちの人生に関わる。

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