業界ウォッチ 2019年11月11日

教員のちょっと気になる「ワイヤレスイヤホン市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「ワイヤレスホン市場」を取り上げてご紹介いたします。

先日10月下旬に、アップルから新型ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」が発表されました。これまでのAirPodsからデザインが変わり、ノイズキャンセリング機能などが加わったものとなっています。これにより、さっそくAirPods Proの販売が伸びたようです。

ワイヤレスイヤホンは、確かに実際に使っている人を見かけることも多くなりました。とはいっても、やはりアップルのAirPodsが目に付くような印象を持ちます。

それでは、実際にアップルのAirPodsはどのくらいのシェアを占めているのでしょうか。世界的にどのくらい売れていて、どのくらい伸びているのでしょうか。

まず、国内のワイヤレスイヤホンのシェアを見てみます。BNCランキングの19年10月の販売台数シェアを見ると、「アップルAirPods with Charging Case 第2世代」が29.6%とトップで、次いで「ソニーWF-1000XM3」(13.7%)、「アップルAirPods with Wireless Charging Case 第2世代」(5.7%)、「アップルAirPods Pro」(5.2%)と続きます。

「Airpods Pro」は10月28日に発表されたばかりで、10月のシェア4位にランクインするほど初速で売れていることがわかります。

次に世界のワイレスイヤホンが、メーカー(ベンダー)別でどのくらい出荷されているのか見てみます。はやり世界的にもアップルがトップで19年2Qで1590万台となっています。次いでサムスン(330万台)、シャオミ(210万台)、BOSE(180万台)と続きます。いずれも前年同期比でみると大きく伸びていることがわかります。

世界のワイヤレヘッドセット市場(出荷台数)の推移を見てみると、’16年に1500万台で、そこから高い伸びを示し、’18年には5100万台、’20年には1.1億台に達しています。

こうしてみると、ワイヤレスイヤホンは、スマホなど成熟しつつあるデジタル製品が多い中で、高い成長を見せている市場だということがわかります。

AIスピーカーなども含めて、こうした音声再生デバイスが広がることによって、これから音楽・音声の聴き方が変化し、新たな市場が広がるかもしれません。こうした分野に新たな事業機会を見出すことができそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)