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業界ウォッチ 2019/11/18

教員のちょっと気になる「住宅リフォーム市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「住宅リフォーム市場」を取り上げてご紹介いたします。

先日、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが2018年の「住宅リフォーム市場規模」の推計結果を公表しました。それによると、2018年の増築・改築工事及び設備等の修繕維持費を合計した住宅リフォーム市場規模(狭義)は5兆7200億円(前年比300億円減)ということでした。新設住宅に計上される増築・改築工事とリフォームに関連する耐久消費財・インテリア商品等の購入費を含めた「広義のリフォーム市場規模」は6兆9000億円(前年比300億円増)となりました。

住宅リフォーム市場は、少子高齢化を背景とした国内市場の成熟により、新築需要よりも既存住宅ストックの有効活用という観点から期待されている分野とされています。それでは、その住宅リフォーム市場規模は、どのくらい伸びているのでしょうか。その内訳はどのように推移しているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、住宅リフォーム市場規模(狭義・広義)の推移を見てみたいと思います。「狭義の住宅リフォーム市場規模」は1989年に3.4兆円で、そこから増加トレンドで96年に5.74兆円まで伸びましたが、そこから増減しながら、リーマンショックの影響のあった2009年には4.4兆円に落ち込みます。以降増加トレンドに転じますが、13年(6.1兆円)以降は微減トレンドとなっています。「広義の住宅リフォーム市場」の推移を見ると、89年の5.78兆円から96年の9.06兆円まで急拡大していることが分かります。96年をピークに減少に転じ、09年の6.37兆円まで落ち込んだのち、再度増加トレンドに転じますが、13年以降は減少から横這いトレンドとなっています。

次に、住宅リフォーム市場の内訳を見てみます。「増築・改築工事費」の推移をみると、89年(1.22兆円)から92年(1.35兆円)まで微増トレンドでしたが、以降減少トレンドとなり2018年には0.44兆円となっています。

「設備等の修繕維持費」は、89年(2.18兆円)から96年(4.53兆円)にかけて急拡大しますが、以降は増減を繰り返し、09年に3.98兆円と落ち込みます。以降拡大に転じますが、13年(5.56兆円)をピークに微減トレンドに転じています。

「広義」と「狭義」の差分である「リフォームに関連する耐久消費財・インテリア商品等購入費等」の推移を見ると、89年(2.38兆円)から96年(3.32兆円)まで増加トレンドでしたが、以降は一貫して減少トレンドとなり、18年には1.18兆円となっています。

こうしてみると、住宅リフォーム市場は、96年のピークから09年のリーマンショックまではマイナストレンドだったことが分かります。09年から13年までは増加に転じるものの、以降横ばいトレンドとなっています。住宅リフォーム市場は、ここ数年は期待されたほど伸びていないようにも見えます。

とはいえ、6~7兆円の市場規模はそれなりに大きいといえます。また、近年の台風・豪雨など気象災害の状況を考えると、修繕維持だけでなく防災の備えとしての工事が必要になってくるとも考えられます。

マクロのトレンドだけではなく、個別のリフォーム需要の動向を細かく見ていくと、伸びる市場分野を見出せるのかもしれませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)