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BBTインサイト 2019/11/28

話し合いの成果を高めるファシリテーション <第3回>創造的な話し合いの流れの中で使うファシリテーション[後編]



講師:森 雅浩(Be-Nature School代表)
編集/構成:mbaSwitch編集部

出典:Photo by You X Ventures on Unsplash

会議で効果的に成果を生み出すために「創造的な話し合いの流れ」があり、この流れには大きな4つのステージがあります。まず、最初に情報や課題などを共有する「共有」ステージ、様々な可能性を探る「拡散」ステージ、そして議論して考え抜いた結果を整理する「収束」ステージ、最後に文章などで確認する「共有」ステージです。

これらのステージでファシリテーションスキルを有効に使いながら、創造的な成果を生み出していきます。後半の今回は、収束ステージからを具体的に見ていきましょう。

1.創造的な話し合いの流れのおさらい

前半に引き続き、創造的な話し合いの流れの中で使うファシリテーションをテーマにお伝えします。具体的な内容に入る前に、再度、今回の求める成果を確認しておきたいと思います。

求める成果は、「ファシリテーションの考え方と基本スキルを理解し、よしやってみようと一歩踏み出す」です。読み終わった後のみなさんの状態を少しでも喚起できるような内容になっています。また、みなさんは会議を良くしたいと思う方、もしくは、会議の運営や進行をする必要のある方の立場で読み進めていただければと思います。

これからいくつかのファシリテーションスキルを紹介していきますが、みなさんの会社や組織などの現場を想像しながら読み進めていただき、試せそうな物があれば、すぐにでも現場で試してみてください。上手くいかなくても何度もトライする事が大事ですので、めげずに何度もトライしていただければと思います。

前半のおさらいもかねて、創造的な話し合いの流れを確認しましょう。下図を見てください。

まず、最初の「共有」ステージでは、しっかりと情報や課題が共有され、お互いの考えや人を知る事が行われます。次の「拡散」ステージでは、アイディアを広げたり、様々な可能性を探ります。「拡散」の後には、ちょっとした産みの苦しみである混沌の時間があり、その混沌の時間を経て、整理して絞り込み、まとめる「収束」ステージがあります。最後に、改めて「共有」ステージがあります。

それでは、収束ステージで使うファシリテーションスキルを見ていきましょう。

2.「文章化」で枠組みを示しまとめていく(収束ステージ)

収束ステージでは、枠を示し文章化を促す、数を絞る、という事をしていきます。

会議の中で結論をどう出したら良いのか、と、お悩みの方は多いと思いますが、結論を出すのはファシリテーターではなく参加者です。だから、ファシリテーターがまとめるというよりは、参加者同士が結論を出し合い「自ずとまとまる」というのが望ましい状況です。

「自ずとまとまる」ために、拡散した意見やアイディアを文章にしていきましょう。一度文章にしてから、収束につなげていくとスムーズです。

アイディアを拡散したり広げたりする時は、単語やキーワードでも構いませんが、最後に結論を出す時は、キーワードのままだと具体的にどうすれば良いのかが分からないので参加者が困惑します。例えば、「良い会議をするために大切な事は何でしょう」という時に、「アイディア」とキーワードで結論を出しても、参加者は具体的にどうすれば良いかが分からず困惑します。

こうならないために、ファシリテーターから枠を提示します。枠とは、例えば、「○○を大切にして、□□を実現します」というような、○○や□□を埋めるような短い文章です。枠はこれでないといけないというのはありませんので、○○や□□に囚われず自由に枠を考えてみてください。例えば、「○○を□□して△△する」という形で示す場合もあります。こういう枠を示す事で、会議の成果としてみんなが理解しやすくなります。

ファシリテーターは枠だけを提示して、○○や□□の中身は会議に参加している個人が埋めたり、小グループで埋めていきます。単なるキーワードだけにするのではなく、短い文章にしていくというのはとても大事な事です。また、何も書かれていないA4の紙は、シンプルにして使いやすいひとつの枠なので、こちらも活用してみてください。

ここまで共有、拡散とステージを進めてきて、十分な拡散や板書があると思いますので、その結果を踏まえて収束に活かしていきましょう。初めから枠を示すと自由な発想が生まれなくなるので、拡散ステージではなく、収束ステージで枠を示すようにするのがお勧めです。また、文章化する前には、板書の振り返りや、求める成果・アウトカムの確認も行うようにしてください。

3.「数を絞る」で参加者の意思を反映して絞り込んでいく(収束ステージ)

「自ずとまとまる」ための、二つ目のポイントは、「数を絞る」です。

いきなりひとつの結論を出すのではなく、まずは有力な候補に数を絞っていきます。例えば、参加者12人の書いたアイディア一つひとつを「文章化」で枠組みを示してまとめていくと、12個の具体的な文章ができます。これをベースに数を絞っていきます。

12個の具体的な文章をホワイトボードに全部貼り出すなどして全員に共有します。そうすると色々なものが出てきますので、それぞれ内容を確認して、共通点を見つけたり、相違点を明確にして3~5案程度に絞り込んでいきます。話し合っていると、自ずとまとまり収束されていきますが、そうはいかない時は、参加者の個々の思いや意見を集約して、傾向を確認するという方法があります。

例えば、ファシリテーターが「出ている12個のアイディアを私が一個ずつ指していくので、良いと思う人は拍手をしてください」と言って、実際に拍手をしてもらうと、拍手の大きさで傾向が分かります。

また、「投票する」という方法もあります。投票はなるべく一人二票等の複数票にして、ホワイトボードに張り出されているアイディアに小さい○をつけて投票します。一票ではなく複数票にする事で票がばらけて傾向が出やすくなります。

また、しっかり話し合った上で投票をすると傾向が明確に出る事が多いです。投票形式にすると、参加者は、より伝わりやすい良い文章を選びやすいので、参加者の意思表示の方法としてお勧めです。

4.「現状を確認し次につなげる」事で会議を活かす(共有ステージ)

最後に再び共有ステージです。

まず一つ目は、「現状を確認し次につなげる」です。
どんな会議でも最後の共有の時間を必ず確保しておいてください。仮に一時間の会議だとして、遅くとも55分には終わって、残りの5分は最後の共有の時間にしておきましょう。また、会議を延長する事になっても、予定終了時間の前に、これまでの内容を確認して参加者に延長の確認をするようにしてください。一旦区切りを付ける意味でも、延長の可能性があっても、必ず一旦まとめるようにしましょう。

最後の共有では、今日できた事や決まった事だけではなく、できなかった事や決まらなかった事も明確にして共有してください。

会議で仮に決まらなかったとしたら、参加者は、次にどうするか、という相談をしたいと思います。次につなげるという意味では、最後の共有の時間がないと、会議自体が活かされない事になるので、この時間はすごく重要です。決まった事は、具体的に明確化するようにしてください。誰が、何を、いつまでにするのか、という事をしっかりと決めておきましょう。

また、全体のタイムキープの話になりますが、ファシリテーターが時間を管理するようにしてください。

たまに、タイムキープは時間管理係に任せて、ファシリテーターが議事進行に専念するという場面も見かけますが、あまりお勧めしません。時間を自分で管理せずして進行するのは難しいので、時間の管理はファシリテーターの責任である、と理解していただければと思います。ただし、参加している人には集中して話し合いに入ってほしいので、しっかり時間は管理するけれども、「半分経過するまで言わない」、「終わるちょっと前にはちゃんと伝える」等の配慮が必要です。

5.「チェックアウト」で一人ひとりの異なる感情を共有する(共有ステージ)

ここまでで会議が終了となりますが、最後に「チェックアウト」があります。

これは必須ではありませんが、会議に入る前のチェックインと同じように、チェックアウトがあるとみんなの状況が分かるのでお勧めです。会議で出した結論はひとつですが、参加者が感じている事、例えば、会議に参加した感想や、参加者自身が捉えた大事な事は、一人ひとり違っています。参加者それぞれが「どんな感情を持ったか」という事を共有すると、会議の後にも良い効果がある場合があります。

だいたい一人15秒ぐらいを目安に、時間がない時は、「ひと言だけ感想を言ってください」とか、逆に時間に余裕がある場合は、しっかりと時間を取って「どう感じたか」という事を丁寧に共有します。全体の時間とのバランスを取りながらやってみてください。

チェックインは会議に入る前で気持ちが切り替わっておらず、あまり集中して聞けないという事があります。しかし、会議をした後のチェックアウトは、意外とみんなが集中して聞ける状況になっています。そして、チェックアウトから新たな発見につながる事があります。必ずしもやる必要はありませんが、使いようによってはとても有効ですので、必要に応じて、会議に組み込んでみてください。

これまで紹介したファシリテーションスキルを活用して、会議で創造的な成果を生み出していってください。

※この記事は、ビジネス・ブレークスルーのコンテンツライブラリ「AirSearch」において、2019年07月19日に配信された『話し合いの成果を高めるファシリテーション 03』を編集したものです。


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講師:森 雅浩(Be-Nature School代表)
1960年東京郊外生まれ。早稲田大学社会科学部卒。
少年時代は湧き水を眺めるのと、自転車で土手を走り降りるのが好きだった。10年間の会社員生活を経て海洋環境系団体に身を投じ、国際会議のプロデュースを行う。その縁がきっかけでBe-Nature School立ち上げに関わり、1998年社名変更と同時に代表取締役に就任。アウトドアイベントの企画・プロデュース、ワークショップの企画・ファシリテーション、研修講師など多数実施。趣味はギターの弾き語りとキャンプで料理すること。
NPO法人自然体験活動推進協議会(CONE)理事。NPO法人NATURAL LING TRUST理事。

  • <著書>
  • 『ファシリテーション 実践から学ぶスキルとこころ 』(岩波書店、共著)
  • 『田んぼのきもち (絵本の時間) 』(ポプラ社)