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業界ウォッチ 2020/01/06

教員のちょっと気になる「感情分析関連市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「感情分析関連市場」を取り上げてご紹介いたします。

最近のテクノロジーの進化は目覚ましいものがありますが、それに伴って人の感情・心理状態を計測したり、それをマーケティングに活用したり、各種のビジネスも広がっているようです。

IoT、AI、クラウドコンピューティングなどにより物理空間(モノや人の身体など)にコンピューティングが入り込んできていますが、そこからさらに進んで、人の感情・心理にも入り込む動きが進んでいます。

最近のテクノロジー進化加速以前から脳波計測を応用したニューロ・マーケティングなどがありましたが、こうした手法がより手軽に、より身近に利用できるようになってきたともいえそうです。

それでは、こうした人の感情・心理に関わるテクノロジーとして、どのような分野のビジネスが、どのくらいの市場規模なのでしょうか。また、どのくらい成長すると見込まれているのでしょうか。実際に数字で確認してみたいと思います。

まず、世界の感情分析市場規模を見てみます。
ちなみにTractica社の元資料では “Emotion Recognition and Sentiment Analysis”もしくは “Sentiment and Emotion Analysis Software”と記述されていますので、単に「感情分析」とするよりも元の意味・ニュアンスが分かりやすくなると思います。

同市場は、2017年に1.23億ドルでしたが、2025年には38億ドルへと大きく伸びていることが分かります。また、主にこの市場を牽引している業界として、小売り、広告、ビジネスサービス(コールセンター/BPO等)、ヘルスケア、ゲーム業界が挙げられています。主なユースケースとしては、カスタマーエクスペリエンス、カスタマーサービス、製品/市場調査、ヘルスケア、ゲームが挙げられます。技術的には、自然言語処理、自然言語生成、コンピュータービジョン(顔認識、リアルタイムビデオ分析)などが用いられています。

次に、ニューロ・マーケティング(ソリューション)の市場規模を見てみます。2017年は10.3億ドルでしたが、2024年には20億ドルと2倍に拡大していることが分かります。ニューロ・マーケティング・ソリューションには、fMRI(脳の血流測定)、心拍、脳波記録、アイトラッキング、脳磁図等々の技術が用いられています。

さらに、ブレイン・コンピュータ・インターフェイスの市場規模を見ると、2018年には1.25億ドルでしたが、2025年には2.83億ドルと2倍以上に拡大していることが分かります。

こうしてみると、ニューロ・マーケティングや、脳波を用いるブレイン・コンピュータ・インターフェイスも伸びてますが、特に感情認識・感情分析の伸び率が非常に高いことが分かります。理由としては、生体を測定するためのデバイスを取り付けるよりも、カメラ撮影動画や自然言語処理の方が測定データ取得のハードルが低いことが考えられます。

また、まだ兆候レベルではありますが、感情・精神状態を測定するだけではなく、テクノロジーを用いて精神を落ち着かせたりするサービスも注目されてきています。米calm社はリラクゼーション(瞑想)音楽を提供するアプリとして、ユニコーン企業に仲間入りしています。こうした分野はトランスフォーマティブテクノロジー(Transformative technology)と呼ばれ、マインドフルネス系の業界や、IT系の一部の人たちから注目を浴びています。

2020年に入り、国際情勢・社会動向の動きが慌ただしくなっています。そんな中でも、テクノロジーが人々の気持ち・感情を落ち着かせるために活用できると良いかもしれませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)