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BBTインサイト 2020/02/13

【社会変革型リーダーの構想力】クロスカルチャーマーケティングを通じて日本と世界の文化交流を目指す!



講師:朝比奈 一郎(青山社中株式会社 筆頭代表(CEO))
ゲスト:林 正勝(スターマーク株式会社 代表取締役)
編集/構成:mbaSwitch編集部

国や社会について考え、変革に向けたアクションを取る人を社会変革型リーダーと呼びます。

社会変革型リーダーがいかに大きな構想力を描き、それを実現しているのかをお伝えする本シリーズ、「社会変革型リーダーの構想力」。今回は、「日本のよいものを世界へ 世界のよいものを日本へ 伝統のよいものを現代へ 現代のよいものを伝統へ」をモットーに、クロスカルチャーマーケティングを通じて日本と世界の文化交流を目指すスターマーク株式会社の代表である林正勝氏をお迎えし、スターマークの事業内容とその原点の構想力をお伺いします。

1.ビジネスのスケール感や仕組みをリクルートで学ぶ

林:慶應義塾大学在学中に、東京大学先端科学技術研究所の野口悠紀雄教授の下でウェブ研究に従事していました。元々は、自分のやっていたバンドの宣伝のためにホームページを作っていて、それがたまたま、当時慶應にいらっしゃった島田晴雄教授の目に留まり、野口悠紀雄教授にご紹介いただいたのがきっかけです。

朝比奈:当時は、ホームページを見る機会は頻繁にあったわけではないような時代ですよね。

林:はい。私は高校時代からバンド活動をしていましたが、CDをインディーズでリリースしてツアーを行い、ショップにCDを置いてもらうということをやっていました。その中で、毎日毎日どうやったら自分達の音楽を聴いてもらえるのかと考えてホームページを始めたというわけです。

朝比奈:大学在学中にウェブコンテンツ作成の事業も起こされていますが、大学のご卒業後は、事業の道ではなく就職をされていらっしゃいますね。

林:大学での4年間は、ウェブにまつわることを色々としていましたが、学生が自分達のやりたいことを一生懸命やるというだけでは、ビジネスが伸びるサイズには限界があると考えるようになりました。
一度大きな会社に入社して、社会の仕組みをきちんと勉強したいと考えてリクルートに入社したわけです。

朝比奈:リクルートで実際にゼロから事業を立ち上げたり、スケールの求め方などをご経験されていかがでしたか?

林:自分のスケールをどうやって成長させるかという面で非常に役立ちましたね。リクルートには感謝しかありません。
当時、「一事業を立ち上げたら必ず売上40億を目指せ」と必ず言われましたね。40億円というのは当時の数字で、今はさらに大きい数字になっていると聞いています。

朝比奈:乱暴に分けると、アイデアを出すところと、それをちゃんと育てていくところがあると思いますが、リクルートさんではその学びの面からいかがでしたか?

林:リクルートにはリボン図(リボンモデル)という得意技があります。
これは、クライアントサイドとカスタマーサイドをどうつないでマッチングしていくか、このマッチングのところにリクルートのビジネスの醍醐味があるよというベースのモデルです。リクルートは割と営業の派手な印象が強いので、その後のプロセスの話に目がいきがちですが、どれだけそのモデルには伸びる可能性があるのかという最初のゼロイチのところも実はすごく丁寧にやっています。

2.文化の商社として日本と世界の調和を目指す事業を立ち上げる

朝比奈:そして2004年にスターマークを設立されましたが、どういった思いで設立されたのでしょうか?

林:スターマークは、最初はデジタルマーケティングの会社として設立しました。リクルート在籍中から、もう一度独立をして自分の事業をやりたいと決めていましたので、失礼のないタイミングで義理を果たして卒業するために、リクルートの仕事をやり切るようにしました。
今の社長である峰岸さんに相談して了承をいただいたのですが、その時に「古巣と競合するような仕事を立ち上げると寂しい思いをするよ」というアドバイスをいただいたので、当時リクルートがやっていなかったような領域をやろうと考え、スターマークの事業を始めました。

社名にもあるスターマークという五芒星の星印は、色々な国の国旗にも入っていて、アフリカの人が見ても、アメリカの人が見ても、中国の人が見ても、もちろん日本の人が見ても、五芒星=星印と認識するぐらい強い記号です。こういった良い物を見出して世の中に紹介するためにマーケティングしていきたいという思いで、この名前を付けました。

朝比奈:そして、2010年から参入した通販事業では、どういったことを始められたのでしょうか?

林:もともと私が伝統文化に興味があり、歴史も大好きだったので、伝統に関わる仕事を何かやりたいと考えていました。
当時、伝統芸能の世界は仕組みやビジネスになっているものが少なくて、ここに素人が入っていくのは難しいと感じていました。そのような中、伝統芸能の仕事をされている老舗のみなさんに会う機会が増えて、そのみなさんから「老舗」にまつわる何かをやったら面白いのではないか、とアドバイスを受けて、この分野で通販事業を立ち上げることになったのです。

100年続く企業を老舗とした場合、中国、韓国、台湾などのアジア圏は、老舗がなかなかありませんが、日本には老舗が2万6000社もあります。これだけ素晴らしい企業があって、その企業が文化を支えています。海外に出たときに日本文化というのは本当にかけがえのないものだという事に気がついて、この老舗の事業に邁進して、日本文化を支えるお手伝いをしたいと思いました。

林:今、16年目(2019年7月現在)の会社になりますが、香港、ベトナム、シンガポールにも会社があります。「日本のよいものを世界へ、世界のよいものを日本へ、伝統のよいものを現代へ、現代のよいものを伝統へ」という事業コンセプトで、文化の商社として日本と世界の調和を目指して頑張っています。

3.47都道府県各地の新旧良いものを世界195カ国に届ける「agata事業」

林:ソリューション事業は、会社のスタート時期からやっているデジタルマーケティング全般の事業です。これから大きくメディアが変革していく中で、動画によるマーケティングが必ず真ん中に来ると我々は考えています。
従って、YouTubeを使っての情報配信、特に、ライブ配信をしていこうという方向性を会社として大きく打ち出しています。海外にも拠点がありますので、国内・海外向けのサービスです。ライブ配信だけでなく、Facebookをはじめ、ソーシャルを使ったコミュニケーション、ウェブサイトも含めてというご用命を最近よくいただいています。

林:後は、われわれがagata事業と呼んでいる構想があります。例えば青森県とか、山形県とかの「県」という字は、古い読み方をすると「あがた(縣)」と読めます。日本の各地素晴らしいものが色々ありますが、47都道府県の新旧良いものを世界195カ国に出していきたいっていうのが、われわれのagata構想です。

具体的には、海外にものを出していく際は「物づくり」や「ロジスティクス」、「販売接点づくり」と「マーケティング」、これを支える「事業基盤」をちゃんと準備して作ってから海外に出ていきましょう、というアドバイスをさせていただいています。これら5個がきちんと揃っていないと海外には出て行けないからです。

朝比奈:販売接点はどういったものがあるんでしょうか?

林:まずは、小売の接点です。自社の小売を出すかどうかは、ひとつの判断基準になります。我々の場合、ホーチミン高島屋さんにお店を持っていて、ここで小売をしています。飲食も、我々は自社でベトナムにカフェを持っていて、そこで販売をしています。
また、企業として海外進出する場合、小売の接点を持つのか、卸売でいくのかも判断基準になります。日本の企業で海外進出をする場合、催事が一番多いのですが、その催事だけで終わってしまうケースが多くあります。そのため、他の接点の通販もやろうというお話をしています。

4.構想力とは、志・知識・気合いの掛け算

朝比奈:最後に、いち早くベトナムの可能性に着目されて飛び込むという強いリーダーシップをお持ちの林さんですが、その原点を探っていければと思っています。小学校や中学校ではどのようなタイプだったのでしょうか?

林:両親が2人とも働いていました。父親が単身赴任、母親は国会議員の秘書をやっていて、夜遅く帰ってくる暮らしでした。また、私が一人っ子だったので、家で待っているだけでは何も起きないし、楽しい体験をできない状況でした。だから、小さい頃から自分で進んで何かを動かしていくという気質だったんだと思います。みんなに遊びを提案して、「こういうのをやろう」や「楽しいよ」というふうに持ちかけるのは、今もそうですが、当時からやっていました。

朝比奈:自分でアイデアを出しても、うまく周りを巻き込めないと難しいということはよくあると思いますが、みんなをリードする上で意識されている事はありますか?

林:ベトナムのメンバーがたくさん会社に入ってくるようになってから、正直、すごく会社が揺れる時期がありました。日本の古株メンバーや、仕事をしっかりやるベテランメンバーが抜けたりもしました。すごく悩んだ時期もありますが、結局は、その人を認めるということしかない、と気がついたのです。

ベトナムの事業をやりたい人がいる一方で、老舗をやりたい人もいます。みんな全然違う仕事をやっていますが、やりたいことと得意なことを組み合わせることで、人間としてお互いのことが好きになれる会社になっていっていると思います。また、お互いに気遣うことも自然にできるような組織になったと最近は特に感じています。/br>

朝比奈:自分で色々と模索しながらやり抜こうとする、強烈な動機や原点はどのあたりにあると思われますか?

林:会社勤めをしていると、部署異動によってお客様との別れというのはどうしても訪れます。MO-ONのモバイル事業やR25もそうですが、強烈に思い入れのあるプロダクトを愛してくださり、評価してくださったお客様は、自分にとっての宝物なので、別れるのは非常に辛いことでした。そういう思いをお客様にもさせてはいけない、自分もそれは嫌だと思った時に、やはり、自分で事業をやるしかないと思いました。自分で事業をすると、お客様が認めてくださる以上は、ずっと一緒に仕事をしていけます。自分の正しいと思うことをやるために、自分の会社を立ち上げました。

朝比奈:なるほど。サラリーマン時代の異動が原点なのですね。
では、ずばり林さんにとって、構想力とは何でしょうか?/br>

林:構想力とは、「志 × 知識 × 気合」、つまり、志・知識・気合いの掛け算です。

朝比奈:なるほど。本日は、どうもありがとうございました。

講師:朝比奈 一郎(あさひな いちろう)
青山社中株式会社 筆頭代表(CEO)
1973年東京都生まれ。東京大学法学部卒業。ハーバード大行政大学院修了(修士)。
経済産業省でエネルギー政策、インフラ輸出政策などを担当。アジア等の新興国へのインフラ・システム輸出では省内で中心的役割を果たす。小泉内閣では内閣官房に出向。特殊法人・独立行政法人改革に携わる。
外務省「世界の中の日本:30人委員会」委員。(2006年)
「プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)」前(初代)代表。

  • <著書>
  • 『やり過ぎる力 』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

ゲスト:林 正勝(はやし まさかつ)
スターマーク株式会社 代表取締役
慶應義塾大学経済学部の在学中に、東京大学先端科学技術研究所 野口悠紀雄教授の下でウェブ研究・開発を行う。
リクルート事業開発部にてR25とモバイルASPサービスMO-ONの事業立ち上げを経験。
2004年に東京にマーケティングを主事業とするスターマーク株式会社を設立。
以降、香港・シンガポール・ベトナムに現地法人を設立。
日本のよいものを世界へ 世界のよいものを日本へ
伝統のよいものを現代へ 現代のよいものを伝統へ
をビジョンとして掲げ、日本と日本の伝統文化への貢献、世界と日本の調和の実現を目指し、各国で活動している。
東京大学先端技術研究所非常勤講師、国立情報学研究所産学連携研究員、京都府スポーツ観光委員、飛騨・高山観光コンペンション協会 情報発信プロデューサー ほか歴任