業界ウォッチ 2020年3月16日

教員のちょっと気になる「スーパー・コンビニ・スイーツ市場」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「スーパー・コンビニ・スイーツ市場」を取り上げてご紹介いたします。

3月12日は「スイーツの日」として、洋菓子メーカーの株式会社モンテールが洋生菓子(スイーツ)に関する調査結果をまとめた「スーパー・コンビニ スイーツ白書 2020」を発表しました。同調査は、2007年から調査が行なわれています。同白書によると、好きなスイーツランキングの1位はシュークリームで、13年連続1位を維持しているとのことです。スーパー・コンビニのスイーツは確かに人気があるという報道も見かけますし、実際に食べておいしいものも多いように思います。

それでは、実際にどのくらいの人がスーパーやコンビニでスイーツを買っているのでしょうか。また、どのくらいの金額を使っていて、どんなスイーツを買って、誰と一緒に食べているのでしょうか。実際に数字で確認したいと思います。

まず、「スイーツを購入する場所」の割合を見てみます。
トップは「スーパー」で67%、次いで「コンビニ」55.5%と続き、以下「専門店」21.2%、「百貨店」12.9%、「ドラッグストア」10%となっており、スーパー・コンビニと大きな差があることが分かります。

次にスーパー・コンビニのスイーツに使う平均金額を見てみます。年代別で最もお金を使っているのが「女性10代」の218円で、次いで「女性20代」213円、「男性20代」210円と続きます。全年代平均の金額は194.68円となっています。10~20代の男女のが比較的多く金額を支払っていることが分かります。

どんなスイーツを買っているのか見てみると、「シュークリーム」がトップで74.4%となっています。次いで、「プリン」48.2%、「ロールケーキ」45.3%、「エクレア」41.5%と続きます。やはり「シュークリーム」が突出していることが分かります。

「誰と一緒に食べているのか」を見てみると、「家族と」がトップで63.2%(19年)、次いで「ひとりで」が54.7%(19年)となっています。その他の「友人と」、「恋人と」、「職場の同僚と」は大きく差がついており、10%前後もしくはそれ以下の割合となっています。

時系列でみると、「家族と」が09年の68.4%から19年の63.2%へと下降傾向にあり、他方「ひとりで」が09年の48%から19年の54.7%へと上昇傾向にあることが分かります。

こうしてみると、スーパー・コンビニ・スイーツは、専門店や百貨店で買うスイーツとは異なり、単価も200円前後で、若い人を中心に、一人で食べる人が多いということが分かります。

ちなみに、この調査は「スーパー・コンビニ」のスイーツを中心に調査した結果なので、国内のスイーツ市場全体を網羅しているわけではありません。国内のスイーツ市場全体のトレンドは、減少傾向(※)にあり、洋菓子店の倒産が増加しているとの報道もありました。

一見、楽し気で華やかに思えるスイーツ市場ですが、実際の競争環境・市場環境は厳しいものがあるのかもしれませんね。

【参考】全日本菓子協会統計資料(最終アクセス:2020年3月16日)
https://www.eokashi.net/siryo/siryo08.html

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)