業界ウォッチ 2020年4月27日

教員のちょっと気になる「Nintendo Switch販売動向」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「Nintendo Switch販売動向」を取り上げてご紹介いたします。

新型コロナウイルスの影響により、外出自粛要請が続いています。外出を自粛して自宅にこもるとなると、どのようにして時間を過ごすのか、人によってさまざまな過ごし方があるかと思います。その中の一つに、ゲームが挙げられるのではないでしょうか。

ここにきて、ゲーム機のNintendo Switchの人気が高まっているようです。家電量販店でも販売を抽選にするなど、供給が需要に追い付いていない状況となっているそうです。供給面の問題としては、中国工場の稼働停止の影響が挙げられますが、需要面では、外出自粛に加えて、人気ゲームソフトの影響があると言われています。

任天堂ゲームの人気シリーズ「どうぶつの森」のNintendo Switch用最新作「あつまれ どうぶつの森」が大人気となっていることも影響しているようです。

確かに、「Nintendo Switch」で「あつまれ どうぶつの森」で遊んでいるという情報を、ネット記事やTwitter等で見かけるようになっています。

それでは実際にどの位、Nintendo Switchが売れているのでしょうか。また「あつまれ どうぶつの森」はどの位の売れ行きとなっているのでしょうか。実際に数字で確認したいと思います。

まず、任天堂の歴代ゲーム機の累計販売台数で比較してみたいと思います。歴代累計販売台数トップはWiiの1億163万台となっています。次いで、Nintendo 3DSの7571万台、ファミリーコンピュータ(ファミコン)の6191万台、Nintendo Switchの5248万台(2020年3月時点)と続きます。Nintendo Switchは、現時点で歴代4位の販売台数となっているので、今後さらに累計販売台数を伸ばすことが予想できます。

次に、Nintendo Switchの発売当初からの累計販売台数の推移を見てみます。当初’17年3月の販売台数は150万台でしたが、そこから増加トレンドで、2019年の8月以降販売増加トレンドが加速しています。’20年に入り、増加ペースが少し弱まりますが、’20年3月に再び急増傾向へと転換しています。やはり、外出自粛要請の影響があるものと考えられます。

次に「あつまれ どうぶつの森」(以下、「あつ森」)の販売動向を、過去の「どうぶつの森」シリーズの販売動向と比較してみます。発売日から第4週までの累積販売本数を比較してみると、「あつ森」がダントツで販売本数が多く、332万本となっています。また第1週目の時点で188万本と、他のシリーズの第4週までの累計販売本数よりも多くなっていることが分かります。

こうしてみると、やはり外出自粛・巣ごもり消費として、ゲームの人気が高く、その中で「Nintendo Switch」、「あつ森」の人気が高いことが分かります。
特に「あつ森」は、単にゲーム好きの人に人気があるのではなく、そうではない人にも人気が出ているようです。他の人とゲーム上で交流できることが特徴のようです。

「Nintendo Switch」、「あつ森」は、単なるゲームではなく、外出自粛時のコミュニケーションおよびエンターテイメントツールであり、場合によっては仲間同士のオンライン・コラボレーション・ツールとして機能するようになるかもしれません。そういう視点で見ると、もしかすると何か新しい事業のアイデアが浮かぶかもしれませんね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)