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業界ウォッチ 2020/05/25

教員のちょっと気になる「国内食品スーパー売上高」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「国内食品スーパー売上高」を取り上げてご紹介いたします。

先日(5/21)、全国食品スーパーの4月の売上高(速報値)集計結果が発表されました(日本スーパーマーケット協会など食品スーパー業界3団体による集計)。同調査によると、4月の食品スーパー売上高は、既存店ベースで前年同月比10.7%増となっており、3か月連続で前年実績を上回る結果となっています。

新型コロナの影響による外出自粛要請や在宅勤務増加などで、保存ができる食品類や、家庭内調理・自炊が増えたことなどが影響しているとの報道もあります。確かに、飲食店の営業自粛要請で外食できなくなると、日々の食事を支える食品スーパーの役割が大きくなることは分かります。

それでは実際にどの位食品スーパーの販売が伸びているのでしょうか。また、どういった食品分野の伸びが大きいのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、食品スーパーの「総売上高」の推移を見てみます。2019年4月~2020年1月まで対前年同月比で100%を下回っていましたが、2月に105.5%と100を上回り、そこから3か月連続で対前年同月で100%を上回る伸びを示しています。「食品」部門の売上高合計を見ると、ほぼ同様の動きで、4月には対前年比112.5%と最も高くなっています。

食品以外の売上推移をみると、「非食品」、「その他」ともに2月に一度対前年比100%を上回りますが、以降一気に落ち込み、4月時点では「非食品」93.9%、「その他」91.4%となっています。

次に食品カテゴリ(生鮮3部門除く)ごとの売上推移を見てみます。

カップ麺やレトルト食品などを含む「一般食品」、牛乳・バターなどの乳製品やヨーグルト・納豆などの発酵食品を含む「日配」は、似通った動きをしています。20年1月までは対前年同月比で100%を下回る水準で推移していましたが、2月以降急速に伸びており、4月には「一般食品」114.8%、「日配」114.7%となっています。

一方、「惣菜」は、概ね対前年同月比100を上回る水準で推移していましたが、3月以降急に落ち込み、4月には95.3%となっています。外出自粛による行楽需要減少、在宅勤務増加による仕事帰りの購入が減少したことが要因として挙げられます。

次に生鮮3部門(肉類、青果、魚類)の売上推移を見てみます。いずれも、対前年同月比で1月ごろまで100%を下回る水準で推移していましたが、2月以降急速に伸びています。4月時点で最も伸びが高かったのは肉類の118.9%で、次いで青果115.8%、魚類107.2%となっています。

こうしてみると、新型コロナの影響が大きくなった2月以降、保存がきく加工食品や、家庭内調理・自炊に必要となる生鮮品・乳製品・発酵食品などの売上が大きく伸びていることが数字で確認できます。一方、惣菜や、非食品類が2月以降落ち込んでいることも確認できます。

緊急事態宣・外出自粛要請が解除された後、少しずつ、こうした状況が変わっていくかもしれません。

政府の「新しい生活様式」に対する批判もあるようですが、一気に元の消費・生活スタイルに戻るのではなく、少しずつ元に戻る部分と、継続する部分が併存していくようになりそうに思えます。状況が刻々と変化する環境下においては、日々状況に応じて対応していくことが求められそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)