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業界ウォッチ 2020/06/22

教員のちょっと気になる「欧州サッカー5大リーグ収入見通し」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「欧州サッカー5大リーグ収入見通し」を取り上げてご紹介いたします。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中断していた欧州サッカーリーグが、ドイツをはじめとして主要リーグで再開され始めました。

フランス(リーグ・アン)は、4月中に今シーズン打ち切りという方針となっていましたが、その他の主要リーグでは、ドイツ(ブンデスリーガ)が5月16日、スペイン(ラ・リーガ)は6月11日、イングランド(プレミアリーグ)は6月17日、イタリア(セリエA)は6月20日の再開となっています。

欧州サッカーリーグは、概ね秋~春シーズンで開催されていますが、今年3月上旬に各主要リーグが中断に入ったため、今シーズ(19年秋~20年春)の収入が落ち込んでいることが想定されます。

それでは、各主要リーグで、どの位の収入落ち込みの影響が想定されるのでしょうか。また、来シーズン(20年秋~21年春)には再度感染が拡大するのかどうか見通すことが難しいですが、どの位の水準になると予想できるでしょうか。中でも、最も収入規模の大きいイングランド・プレミアリーグでは、どの収入項目の影響が大きいのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

大手会計事務所デロイトが “Annual Review of Football Finance 2020” で主要リーグの収入予測をしていますので、その数字を見て確認したいと思います。

まず各欧州サッカー5大リーグの収入推移を見てみます。イングランドは12/13シーズンは29億ユーロでしたが、そこから増加トレンドで18/19シーズンに59億ドルとなりますが、今季(19/20シーズン)は49億ドルと大幅に落ち込むことが予想されています。来季(20/21シーズン)は、デロイトの予測ではウイルス感染第2波をあまり想定していないようで、62億ユーロに達することが予想されています。

他のリーグも概ね12/13年シーズンから18/19シーズンにかけて増加トレンドとなり、今季(19/20シーズン)は一旦落ち込むものの、来季には回復する予想となっています。例外的にドイツが今季は落ち込みが少なく、来季少し落ち込むものと予想されています。

次に、欧州で最も収入規模の大きいイングランド・プレミアリーグの収入わけの推移を見てみます。収入源で最も割合が高いのは「放映権収入(Broadcasting)」で、次いで、「スポンサー等商業収入(Commercial)」、「入場料収入(Matchday)」の順となっています。

「放映権収入」は12/13年シーズンに約12億ポンドで、18/19シーズンの30億ポンドまで増加トレンドできましたが、今季は22億ポンドに落ち込みます。しかし、来季は37億ポンドと過去最高になることが予想されています。

スポンサー料収入は、12/13シーズンが7.5億ポンドから増加トレンドで、今季15.5億ポンドと最も大きく、来季は13.5億ポンドと予想されています。入場料収入は、12/13シーズンの5.9億ポンドから18/19シーズン(6.8億ポンド)まで増加トレンドで、今季5.5億ポンド、来季3.5億ポンドと落ち込むことが予想されています。

こうしてみると、今季(19/20シーズン)の収入は対前年比10~16%前後のダウンで、来シーズンには、ほぼコロナ前かそれ以上の水準に回復する予想になっていることが分かります。また、収入内訳で見ると、入場料収入よりも放映権収入の割合が高いことから、無観客試合でも良いから試合を行って放映した方が収入につながるということが分かります。

今後、コロナウイルスを抑え込めるようになるのか、現時点では定かではありませんが、プロスポーツ事業は、観客で密になることを避ける必要性から、当面はスタジアム入場料収入への依存度を下げて、その他の収入源を確保していくことが必要になりそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)