執筆者:PEGL事務局清水
巷では英語を勉強する上でカタカナ英語は“禁断”であると言われています。
「カタカナ英語なんて、発音記号が読める私には今さら必要ない」と思う読者も多いかもしれません。そうした読者に対しても、従来のカタカナ英語とは違う“目からウロコ”が落ちるカタカナ英語を今号のメルマガでは紹介します。
国際線の飛行機に乗ったとき、外国人の客室乗務員に水を注文しようとして「ウォーター・プリーズ」と頼んでも通じなかったという経験のある方もいることでしょう。
「やっぱりカタカナ英語は通じないではないか」と思うかもしれませんが、『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』(講談社)の著者の池谷裕二氏によると、「ウォーター」の発音ではいつまで経っても通じることはなく、その理由は単純で、割り当てるカタカナが間違っているからなのだと言います。これは「ウワラ」と言えば難なく通じるのだと言います。
しかも、読むときには変に気取って英語ぶる必要はなく、そのまま素直にカタカナを読み上げれば良く、それで十分に通じるのだと言います。これは発音記号学習に限界を感じていた私にとって新しい発見です。発音記号学習に限界を感じた方がもしいたら、カタカナを見直してみてはいかがでしょうか。
著者の池谷氏によると、カタカナに書き換えるにあたり、13の法則があるのだと言います。これらの法則が実践で通用することは、池谷氏がネイティブ・スピーカーに対して試してチェック済みとのことです。さっそく、順番に見ていきましょう。
英語では、単語の最後に子音が来る場合、その子音はほとんど聞こえません。
例えば「People」のように「le」が来る場合も同様ですが、「le」をどう発音したら良いのでしょうか。発音記号には「l」と記されているので、「l」の発音記号通りに「舌先を上あごに接触させなければいけないのではないか」と考えてしまうのですが「l」を発音記号通りに発音することはないようです。この場合の発音をカタカナに当てはめるとすると、「ウ」だと同書は言います。
ただし「ウ」とははっきり言い切らずに、口の形を軽く「ウ」の形にするだけで十分です。その「ウ」の発音に引きずられる形で「l」の直前の母音は自然と「オ」になります。例えば、Peopleを発音すると「ピープル」ではなく、「ピーポウ」に近い発音になります。同様にWonderfulを発音すると「ワンダフル」ではなく「ワンドフォウ」に近い発音になります。
Digital 「デジタル」⇒「デジェトウ」
Essential 「エッセンシャル」⇒「エセンショウ」
Global 「グローバル」⇒「グロウボウ」
Hospital 「ホスピタル」⇒「ハスペロウ」
Journal 「ジャーナル」⇒「ジュオノウ」
Liberal 「リベラル」⇒「リベロウ」
National 「ナショナル」⇒「ネアシュノウ」
Special 「スペシャル」⇒「スペショウ」
Terminal 「ターミナル」⇒「トゥオメノウ」
Pencil 「ペンシル」⇒「ペンソウ」
Able 「エイブル」⇒「エイボウ」
Beautiful 「ビューティフル」⇒「ビューレフォウ」
Circle 「サークル」⇒「スオコウ」
Miracle 「ミラクル」⇒「メラコウ」
People 「ピープル」⇒「ピーポウ」
Unbelievable 「アンビリーバブル」⇒「アンベレーヴァボウ」
Wonderful 「ワンダフル」⇒「ワンドフォウ」
Tunnel 「トンネル」⇒「タノウ」
日本人が苦手とする「ア」(「a」と「e」を合わせた形の発音記号)の発音です。
この発音は、甘えた猫が発する声の音だと同書は言います。日本語では「ニャー」(アとイの中間音)と表記しますが、猫が鳴くのをよく聞くとそうは鳴いて
おらず確かにアとエの中間音で鳴いています。
Active 「アクティブ」⇒「エアクティヴ」
Japan 「ジャパン」⇒「ジャペアン」
この発音も、見たままストレートに「ション」というよりも「シュン」のほうが英語の発音に近くなります。
Attention 「アテンション」⇒「アテンシュン」
Mission 「ミッション」⇒「ミシュン」
単語の末尾に「t」や「d」や「c」や「g」や「p」がきたときに、発音記号には「t」「d」「k」「g」「p」が表記してあるのですが、ほとんどその音は「ッ」
にしか聞こえません。例えば驚いた時に発する「げっ!」が「get」の発音になります。
Accident 「アクシデント」⇒「エアクシデンッ」(t)
Cold 「コールド」⇒「コーウッ」(d)
Picnic 「ピクニック」⇒「ぺクネッ」(c)
Stop 「ストップ」⇒「スターッ」(p)
この法則は、単語の末尾だけでなく、途中にきても応用できます。
Absolutely 「アブソリュートリー」⇒「アブサリュッリ」
Hotcake 「ホットケーキ」⇒「ハッケイク」
Scotland 「スコットランド」⇒「スカッランッ」(d)
「O」は3種類の発音記号で表記され、それぞれ発音の違いがありますが、「ア」で通すのも英語初心者にはやむを得ないと同書で言っています。
Body 「ボディー」⇒「バディ」
Hospital 「ホスピタル」⇒「ハスペロウ」
いかがでしたでしょうか。
同書の著者の池谷氏は英語が専門というわけではなく、東京大学・大学院薬学系研究科・薬品作用学教室の教授です。
米国留学した当初に現地で英語が通じず、四苦八苦した挙句に何とか通じさせようとして行き着いたのが、日本人が日頃から馴染んでいるカタカナだったというわけです。米国に留学するぐらいですから、英語の能力も相当高い人に違いありません(著書の中では池谷氏は謙遜していますが)。
脳科学的にも“禁断”のカタカナ英語のほうが日本人には向いているというのが、池谷氏の主張です。
みなさんはどう考えますか?
【参考】怖いくらい通じるカタカナ英語の法則pp.131-145
http://www.amazon.co.jp/dp/4062575744
カタカナ英語でいいんじゃない?
http://gaya.jp/english/katakana.htm
(最終アクセス2020年7月30日)