業界ウォッチ 2020年8月3日

教員のちょっと気になる「首都圏・関西圏の大型イベント施設収容人数」



執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)

今週は「首都圏・関西圏の大型イベント施設収容人数」を取り上げてご紹介いたします。

新型コロナの影響で、大型イベント施設での集客が制限されていたため、プロ野球、Jリーグは6月まで無観客試合を行っていました。7月10日から、イベントの開催制限を段階的に緩和する政府の方針に沿って、各会場で最大5000人まで観客を入れて開催されるようになっています。

政府の方針では、当初8月には収容率50%維持、5000人という人数上限を撤廃する予定でしたが、7月の感染状況を踏まえて、当面8月末までの間、収容率50%、人数制限5000人を維持することとなりました。

大型イベント施設といえば、やはり屋内アリーナ施設よりも、サッカー・野球等の大型スタジアムが中心になるかと思いますが、5000人上限では、実際の収容人数よりもかなり少ないものと思われます。

それでは主な首都圏・関西圏の大型イベント施設の収容人数はどの位の収容人数なのでしょうか。首都圏と関西圏で、規模の違いがあるのでしょうか。主にサッカーで使用するスタジアムと主に野球で使用するスタジアムで違いがあるのでしょうか。また5000人の上限は実際の収容人数と比べるとどの位の水準なのでしょうか。数字を見て確認したいと思います。

まず、首都圏の大型イベント施設の収容人数を見てみます。収容人数規模トップは国立競技場の8万人で、収容人数に対する上限人数の割合(上限人数収容率)は6.3%となっています。次いで大きいのは、日産スタジアム(収容人数7.2万人、上限人数収容率6.9%)で、埼玉スタジアム2002(同6.4万人、同7.8%)、横浜スタジアム(同5万人、同10%)、メットライフドーム(同5万人、同10%)と続きます。

次に関西圏の大型イベント施設の収容人数をみると、最も大きいのは京セラドーム大阪で、収容人数5.5万人、上限人数収容率9.1%となっています。次いで大きいのはヤンマースタジアム長居(収容人数5万人、上限人数収容率10%)で、阪神甲子園球場(同4.6万人、同10.8%)、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場(同4.5万人、同11.1%)と続きます。

また、どの大型イベント施設(スタジアム)も、音楽イベントにも使用されいます。

こうしてみると、首都圏のサッカー/ラグビー用のスタジアムの収容人数が大きいことが分かります。国立競技場は、今年開催する予定であった東京オリンピックのメイン会場であり、日産スタジアムは2002FIFAワールドカップ日韓大会の決勝戦会場でもありました。

野球のスタジアムとしては、京セラドーム大阪の収容人数が最も大きいことが分かります。また、横浜スタジアム(DeNAベイスターズの本拠地)、メットライフドーム(西武ライオンズの本拠地)の収容人数が、東京ドーム(巨人の本拠地)の収容人数よりも大きいことが分かります。

収容人数に対する上限人数の割合も、5万人規模の収容人数だと、1割程度となるため、観客席の埋まり具合も寂しい状況になることが分かります。とはいえ、7月の感染の広がり状況からすると、大型イベント施設に数万人もの人を集めるのは現実的ではなさそうです。

今から思えば、人気プロスポーツや音楽イベントの集客力は非常に大きいものだったということが分かります。

新型コロナの収束見通しがつかない状況下において、大規模な集客イベント施設の意義や価値、今後どうあるべきなのか、感染対策が万全になされれれば大規模集客しても良いのか、など深く考えていく必要がありそうですね。

執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)

ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。

<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)