執筆:mbaSwitch編集部
組織が同じ方向を見ながら成長するために、なくてはならないビジョン。
ビジョンとは「会社の未来の姿」という何となくのイメージしかない方が多いのではないでしょうか。
この記事で、ビジョンとは何か?どのように作成するのか?をあらためておさらいしましょう。
ビジョンとは、一言でいえば企業の「将来ありたい姿」です。
社会や社員にとって、企業がどのような存在でありたいか、何を成し遂げていたいか、ある程度具体的に描いたものです。
この企業は何のために存在していて、何を目指しているのか。これが明文化されていて、共通認識として持たれていると、組織の求心力が高まります。将来の目指す姿が共有されていない組織では、社員が各々の理由で働いていることになり、思わぬきっかけで社員の離職やチームの士気が下がる可能性もあります。
ビジョンは、組織の求心力を高め、成長を加速させるためになくてはならないものです。
もちろん、示されたビジョンが、外から見た時に理解できないものでは顧客がついてきません。社員を鼓舞し、外部からも共感されるビジョンが理想的です。
最近では、「ミッション、ビジョン、バリュー」をセットで聞くことがほとんどではないでしょうか。
まずはミッション、ビジョン、バリューの違いを確認しましょう。
ミッションとは、「この会社は何のために存在するのか」を表したもの。
ビジョンとは、「ミッションにかなった、この会社の将来ありたい姿」を表したもの。
バリューとは、「ミッション、ビジョンを達成するための価値観(行動指針)」を表したもの。
一言で示すとこのような関係になります。ミッションはその会社の使命でもあり、ビジョンよりも抽象度の高い表現になります。また、ビジョンは単体で存在できるものではなく、ミッションと合わせて考えられるものでもあります。
企業理念とは、ミッションとほぼ同義です。社是、社訓などと呼ばれることもありますね。
企業理念をベースに、具体的な将来像に落とし込んだものがビジョンになります。
ビジョンは、経営目標などと呼ばれることもあります。
企業がどのようなミッション、ビジョン、バリューを掲げているのか、具体例を見てみましょう(情報は2020年9月現在のものです)。
パタゴニア
ミッション
「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」
2025年までに
サプライチェーンを含む事業全体にわたってカーボン・ニュートラルとなる
パタゴニアの製品には再生可能素材またはリサイクル素材を100%使用する
最高の製品を作る
不必要な悪影響を最小限に抑える
ビジネスを手段に自然を保護する
従来のやり方にとらわれない
近年ではアウトドアの領域に留まらず、食品事業も展開するパタゴニア。
地球を救うというミッションやビジョンを見ると、違和感のない事業拡大ですね。
「情報革命で人々を幸せにしたい」
次の30年で
人類のそして人工知能のあらゆる知識と知恵を徹底的にクラウドに蓄積して人類最大の資産とする
世界中に生まれる最先端のテクノロジー、最も優れたビジネスモデルを持つ同志と一緒になって、ライフスタイルを革新していく
世界時価総額トップ10に入る
コアバリュー「努力って楽しい」
やる以上は圧倒的No.1
失敗を恐れず高い壁に挑み続ける
登る山を決め、どう行動するか逆算で決める
スピードは価値。早い行動は早い成果を生む
言い訳しない、脳がちぎれるほど考え、とことんやり抜く
いつも大胆な戦略を発表する印象の強いソフトバンク。世界時価総額トップ10に入るためには「今のソフトバンクグループの株価を70倍、80倍にする必要が」あるとのこと。「これを本気でやるつもりです。どう実現するか」と前しか見ていないステートメントが力強いです。
「For the People
すべては人々のために」
世界中の人々にとって、かけがえのない存在になること
「うまい、やすい、はやい」
「客数増加」
「オリジナリティ」
「健全性」
「人材重視」
「挑戦と革新」
「うまい、やすい、はやい」がよく知られる吉野家。直近ではコロナウィルスの影響で苦境を強いられていますが、確かに海外出店も積極的に行っていました。
「社会の非合理を、ハックする。」
働くすべての人を後押しするプラットフォーム、歴史に名を残すプロダクトを作る
自律駆動
早いほうがカッコイイ
最善のプランCを見つける
一語一句に手間ひまかける
ワイルドサイドを歩こう
人が欲しいと思うものをつくろう
認識のズレを自ら埋めよう
近年で最も成長したスタートアップのひとつ、SmartHR。人事労務向けプロダクトの印象が強いですが、将来的には「働くすべての人を後押しする」ことを目指しているようです。
では、ビジョンはどのように設定したらよいのでしょうか。
ビジョンは将来の具体的な状態であるため、「組織として何を成し遂げたいか」の根幹を示すミッションとセットになるはずです。まずは企業や組織のミッションをあらためて確認しましょう。ミッションは、創業メンバーや経営者の想いを基に作られていることが多いでしょう。
ビジネスの成功や組織の拡大は一人で実現できるものではありません。ビジョンは、経営層、リーダー層のチームで議論しながら形成していくのが良いと言われています。
まずは、1年後、5年後、10年後、100年後など、企業や組織の事業規模、事業サイクルに応じて、短期的/長期的な時間軸を設定してみましょう。
未来時点ごとのありたい状態を、具体的な目標と共に描く
設定した短期/長期的な時間軸において、企業がどのような状態でありたいか?を話し合いましょう。付箋にアイディアを書いて並べていくなど、さまざまな方法があります。
また、「XX業界でシェアNo1になる」「XXにおける顧客の不便をなくす」など、挙げられた状態がやや曖昧である場合には、「売り上げがXXX円である」「XXに係る時間がXXX未満になる」等具体的にはどのような目標が達成できていればその状態になったと言えるか?を併わせて設定することも、ビジョンの策定においては重要です。
ここまでビジョンについて解説してきました。
ミッションとビジョンはセットであり、ミッションをある程度具体的なタイムラインに落とし込んだものがビジョンであることがお分かりいただけたかと思います。
また、重要なのは良いビジョンを作ることではなく、組織にビジョンを浸透させること。
迷った時に誰もがミッション、ビジョン、バリューに立ち返って判断できるような組織が理想的です。
ビジョナリーな組織を目指して、リーダーがしっかりミッション、ビジョン、バリューを体現しながら、常にビジョンを意識できる環境作りも心がけていきたいですね。
ミッション、ビジョン、バリューを体現できるリーダーシップは、組織を支える強い軸。
事業開発を担うこれからの起業家やビジネスリーダーになくてはならない、どの企業にも求められるソフトスキルです。
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