編集部posts 2020年10月20日

【MBA・ビジネス用語】労働分配率とは?

【MBA・ビジネス用語】労働分配率とは?



執筆:mbaSwitch編集部

「労働分配率」は、事業や組織を分析するための重要な指標のひとつです。
社員の給与を変更するべきか、この事業を継続すべきかなど、自社の状況を確認したいときに頻繁に用いられます。

適切な水準は事業の内容によって変わりますが、本記事では労働分配率の計算方法や根本的な考え方を解説します。


https://www2.ohmae.ac.jp/Dynamic_LP.html

1.労働分配率とは?

労働分配率とは?

「労働分配率」とは、「生み出した利益を、どれだけ人件費に充てているか」を示す値です。労働分配率を計算することで、その事業に人件費がかかりすぎているのかどうかわかるため、業務の見直しや給与や賞与を調節するなどの判断材料となります。

労働分配率の計算方法

労働分配率は、以下の式で算出されます。

労働分配率 = 人件費 ÷ 付加価値

人件費とは?

雇用形態、契約形態に関わらず、人に払う費用を指します。代表的なものは従業員やアルバイトへの給与や賞与、役員報酬です。また雇用している社員に対して発生する社会保険料など、厚生費や法定福利費も人件費に含まれます。

付加価値とは?

売上によって新たに生み出した利益を指します。付加価値の算出方法にはいくつかありますが、最も簡略的な場合、粗利益を付加価値とすることが多いです。

「粗利益=売上-原価」であるため、例えば50万円で仕入れたものを100万円で売った場合、付加価値は50万円になります。

また、付加価値は「配分されるもの」として考えることが特徴です。生み出された付加価値は、給与や役員報酬となったり、投資家へ配当されたり、納税したり、家賃の支払いに充当したりします。

付加価値から、給与など人件費へ配分した割合を「労働分配率」と言います。

控除法

もう少し正確に計算したい場合、以下のように付加価値を計算することができます。

付加価値 = 売上高 − 外部購入価額

「外部購入価額」には、商品仕入高、外注加工費、購入部品費、材料費や運送費などが含まれます。小売業や卸業であれば、外部購入価額はほぼ原価とイコールになるでしょう。付加価値をなるべく簡略的に計算したい場合は、控除法の計算方法が適しています。

加算法

付加価値のもう一つの計算方法は、付加価値の分配先をもとに計算する方法です。

付加価値 = 人件費 + 賃借料 + 税金 + 他人資本利子 + 当期純利益

賃借料や税金など、払うべきものを払った後に残った利益のことを「当期純利益」と言います。付加価値の構成要素となるものを全て足すことにより付加価値を算出するやり方であり、控除方式より正確に付加価値を計算したい、規模の大きい事業や企業向けの計算方法です。

労働分配率の高低が意味すること

労働分配率が高いと、人件費が利益を圧迫しており、赤字になりやすいと言えます。事業として健全ではないでしょう。

しかし、労働分配率は低ければ低いほど良い訳ではありません。労働分配率が低い場合には、例えば給与や賞与が低すぎるなど、付加価値を適切に分配できていない可能性があります。特に給与などは、社員の不満に直結しやすい要素でもあるため、自社における適切な労働分配率をきちんと設定する必要があります。

2.労働分配率の適正値とは?

労働分配率の適正値とは?

労働分配率の適正値

労働分配率は、一般的に50%以下に抑えると良いと言われていますが、もちろん業種によって適正値は異なります。電気・ガスなどのインフラ事業は労働分配率が低い、コンサルティング業は労働分配率が高いなどの傾向があります。

業種ごとの数値や他社のデータと比較しながら、自社の労働分配率を確認してみてください。


業種別労働分配率


(出典:総務省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績- 付表7より」)


人件費をベースに考える「労働生産性」

労働分配率を算出することで、人件費や事業の見直しの余地がわかりますが、人件費を考える上でもう一つ重要な指標があります。それは「労働生産性」です。

労働生産性とは、「1人当たりが生み出している利益(の平均)」を指し、以下の式で計算されます。

労働生産性=付加価値÷人件費(または投入した時間)

労働分配率の計算式と、分母と分子が逆になっていますね。労働分配率が、付加価値をベースに「人件費にどれくらい分配しているか」を見る指標なのに対し、労働生産性は人件費をベースに「人がどれだけ価値を作っているか」を見る指標になります。

3.労働分配率を改善するためには

労働分配率を改善するためには
労働分配率が、「人件費÷付加価値」である以上、労働分配率を改善するためには、①人件費を調整する ②付加価値を高める の2択しかありません。

人件費を調整する

労働分配率が低すぎる、つまり多くの利益が出ているが給与・賞与には分配されていない場合は、シンプルに給与・賞与のルールを見直したら良いでしょう。

一方で、労働分配率が高すぎる場合、人件費を減少させたいところですが、直ちに給与・賞与を減額するわけにはいきませんよね。労働分配率が高すぎる=労働生産性が低いという見方もできるため、「どうしたら労働生産性が高まるか?」という考え方でオペレーションや業務体制の見直しなどを検討すべきでしょう。

付加価値を高める

労働分配率を低くするには、付加価値を高める方法もあります。この付加価値を高める行為こそ企業の本質であり、セオリーがあるわけではありませんが、たとえば妥当な範囲で値上げをする、販路を拡大するといったことが考えられます。


2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績- 付表7より


(出典:総務省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績- 付表7より」)


https://www2.ohmae.ac.jp/Dynamic_LP.html

4.生産性の高い組織を作れるビジネスリーダーになりましょう!

生産性の高い組織を作れるビジネスリーダーになりましょう!
直ちに付加価値を高めたり、給与を下げたりすることが難しい以上、労働分配率を適正にするためには、「いかに労働生産性を高めるか」がカギとなります。

社員のモチベーションを高め、生産性の高い状態を維持するためには、経営状況と部下の状態をどちらも正確に把握した上で、適切なオペレーションを浸透させることのできる高度なリーダーシップスキルが求められます。

そのようなリーダーシップを高める選択肢として、MBAを取得できる大学院(経営大学院)で学ぶ方法があります。

経営大学院では、経営の3要素である「ヒト・モノ・カネ」についてです。さらに、時代に合わせた最先端のカリキュラムを実施したり、自分のキャリアや今後のビジョンについて向き合う機会を提供したりと、大学院ごとに特色があります。

しかし、仕事だけでも忙しいビジネスパーソンにとって、働きながら経営大学院で学ぶことは容易ではありません。

働きながらでも、うまく時間を活用して学び続けるには、「オンラインMBA」(経営大学院の授業の一部もしくはすべてをオンラインで実施するMBAプログラム)がおすすめです。

▶詳細は、
「【MBA・ビジネス用語】リーダーシップとは? マネジメントとの違いを解説」へ

5.ビジネス・ブレークスルー大学大学院(BBT大学院)のオンライン説明会

ビジネス・ブレークスルー大学大学院(BBT大学院)のオンライン説明会
本校(ビジネス・ブレークスルー大学大学院、以下BBT大学院)は、日本国内で最も長いオンラインMBAの歴史を持っています。2005年の開学以来、15年という月日のなかでオンライン学習の知見を蓄積し、オンラインMBAのパイオニアとして試行錯誤を重ねてきました。

100%オンラインで受講できるため、学びの柔軟性が高く、多忙なビジネスパーソンでも学び続けることができます。

BBT大学院の学長である大前研一は「経営者、現場、顧客からしかビジネスは学べない」という信念から、経営者や起業家、そして数多くの企業や国家の問題解決をリードしてきた経営コンサルタントを中心に教員陣を揃えています。

現在もマネジメントに携わっているリーダー経験豊富な実務家教員から、実践経験に基づいたリーダーシップ論が学べます。

さらに、時代に即した最先端のカリキュラムや教育手法を提供できるよう、アップデートを繰り返しています。

たとえば、MBAの醍醐味であるケーススタディは、RTOCS(アールトックス)と呼ばれる独自の教育メソッドを導入し、現在進行形の事例について取り上げます。


一般的なケーススタディでは過去事例を取り上げますが、今まさに起こっている事例について、「自分が経営者やトップだとしたら?」という視点で将来を予測し、具体的な戦略を考えることで、問題発見・解決能力を身につけられます。

また、教務スタッフによる学生サポートが手厚く、学習の進捗フォローを行い、学習サポートやアドバイスをしている点もBBT大学院の魅力です。

教務スタッフは、一人ひとりの学生の受講の進捗や発言頻度などを日々確認し、名前を覚えてしまうくらい常に気にかけ、身近な存在として伴走してくれます。

100%オンラインのMBAプログラムでどのように学ぶのか、具体的にイメージしづらい方もいるかと思います。そこで、一人ひとりがその場で疑問や不安点を十分に解消できるよう、少人数制による説明会を定期的に開催しています。

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