業界ウォッチ 2020年11月17日

教員ちょっと気になる「Appleの主力事業の変遷」

今週は「Appleの主力事業の変遷」を取り上げてご紹介いたします。

先日(10/29)、アップルが2020年9月期の通期決算を発表しました。売上高は2745億ドル(前年比5.5%増)、営業利益662億ドル(同3.6%増)、最終利益574億ドル(同3.9%増)でした。


このうち、新型iPhoneの発売が9月から10月にずれ込んだことも影響し、主力のiPhoneの売上高が1377億ドルと対前年比-3.4%落込んだものの、Apple全体の売上では増収となっています。


https://www2.ohmae.ac.jp/Dynamic_LP.html

確かに最近では、AppleWatchや、AirPodsなどのウェアラブル製品や、Home Podなどの各種ハードウェアへと幅が広がっており、Apple Music、Apple TV+などのコンテンツサービスなども増えています。iPhoneの売上が停滞しても、他の事業が伸びていることが大きく影響しているのかもしれません。

それでは、Appleの主力事業(製品・サービス)の売上高は、どのように変遷しているのでしょうか。MacintoshなどのPCのウェイトはどうなっているのでしょうか。iPhoneのウェイトはどの位で、どのように変化しているのでしょうか。
実際に数字を見て確認したいと思います。

【使用図表】Appleの主力事業

 まずAppleのセグメント別売上高の推移を見てみます。ここでは、各年のセグメントをMac、iPhone、iPad、その他製品、サービスに整理して推移を見てみます。

売上合計で見ると、2000年には80億ドルでしたが、01年に一旦54億ドルとおちこむもの以降増加トレンドで、iPhoneの発売以降で’10年から売上高が急上昇しています。’15年以降は増減しつつも、’20年までの5年間では増加傾向となっています。

内訳を見ると、’10年以降のiPhoneの売上の伸びの影響が大きいことが分かります。また、15年以降は、iPhoneの売上がやや停滞気味となっていることが分かります。

次に、セグメント別(製品・サービス別)の売上構成比の変遷を見てみます。‘00年時点ではMacが86.2%を占めていますが、徐々にウェイトが下がり、20年には10.4%となっています。

iPodは、iPhoneが発売される前までは、大きなウェイトを占めており、2006年には最大で39.7%を占めていました。以降、iPodの割合が小さくなり13年以降はiPodの売上表記が無くなりました。

iPhoneは、07年は0.5%でしたが、そこからウェイトが大きくなり、15年に最大の66.3%を占めていました。以降は徐々に割合が低下し、20年には50.2%となっています。

変わって、その他製品、サービスが、15年以降ウェイトを高めています。その他製品は、15年に4.3%でしたが、20年には11.2%となっています。サービスは、15年には8.5%でしたが、20年には19.6%となっています。

こうしてみると、AppleはMacの後に、iPod、その後にiPhoneという大型商品で成長してきたことが分かります。また、近年はiPhone以外の製品、サービスの貢献度が大きくなっていることも分かります。Appleの場合、大型ヒット事業があったので分かりやすいですが、事業構造・構成が時代と共にダイナミックに変化しています。

長期変遷を見ると、成功した事業にとどまらずに、時代に合わせて事業構造を変化させることが大切だということが言えそうですね。

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