執筆:mbaSwitch編集部
「チームビルディング」は、コーチングやファシリテーションなどと同様に、リーダーに求められるマネジメントスキルです。
本記事では、チームビルディングのメリットや効果、行う際のポイント、具体例などをご紹介します。
「チームビルディング(team building)」とは、「効果的な組織づくりやチームをまとめる手法」のことです。
チームビルディングで目指すのは、同じゴールを目指して、複数名のメンバーが一人ひとりの能力を最大限に発揮しながら、一丸となって進んでいくような組織の在り方です。
チームビルディングの目的は、チーム一丸となって取り組むことで、個人では難しい目標を達成することです。
どんなに知識を蓄えたり専門スキルを磨いたりしても、一人で大きなことを成し遂げることはできません。
チームメンバーの一人ひとりが知識やスキル、これまでの経験を最大限に発揮し、同じ目標に向かって進んでいくことで、大きな目標も達成することができます。
チームビルディングを行うことのメリットはさまざまですが、ここでは主なメリットについてご紹介します。
モチベーションアップ
チームビルディングによってメンバー内で高い原動力を共有できていると、一人ひとりがチームに貢献しようと能動的に働くようになります。
その結果、成果が出てくると、各人のモチベーションはさらにアップしていきます。それぞれが高いモチベーションを保てているチームは、生産性や品質の向上といった成果が出しやすいといわれています。
コミュニケーションの活性化
ある一つの目標をチーム全員のミッションとして掲げることで、共通認識が生まれ、メンバー間でのコミュニケーションが増えていきます。
コミュニケーションが活性化すると、報・連・相のミスが減るだけでなく、ナレッジも共有できて、より目標に近づきやすくなります。
チームビルディングを行うことで、どのような効果が得られるのでしょうか。代表的なものをご紹介します。
パフォーマンス向上
チームビルディングがうまくいくと、メンバー間の信頼が強まります。その結果、お互いに切磋琢磨し、協力しながら目標達成に向けて行動できるようになり、チーム内、そして個人のパフォーマンスがアップします。
新しいアイデアの創出
チームビルディングでは、メンバーそれぞれの意見をすくい上げ、まとめることを大切にします。チームにはさまざまな価値観や専門スキルをもった人材がいるため、自分一人では発想できないようなアイデアに触れることができます。
その結果、イノベーションにつながるような新しいアイデアを生み出せます。
目標達成
チームビルディングによる最大の効果といえるのが、チームの目標を達成できることです。
一人ひとりがリーダーやメンバーを信頼し、困ったら相談できる関係性を構築することで、目標達成を阻む障害に直面したときも、スムーズに問題解決へとつなげることができます。
チームビルディングを進める際には、どのような段階を経ていけばよいのでしょうか。
チームビルディングのプロセスとして知っておきたいのが、「タックマンモデル」です。
タックマンモデルには、「形成期・混乱期・統一期・機能期・散会期」の5つのステップがあります。それぞれのステップについて解説します。
最初のステップは、チームとして動き始めたころで、メンバーがお互いのことをよく知らない状況です。チームでの目標もまだ浸透していません。形成期には、お互いを知ること、目標について深い共通認識を持つことが重要です。
次のステップでは、メンバー間での対立や衝突が生じるような状況です。目標達成に向けて一人ひとりが真剣に取り組んでいるからこそ、意見の対立などによって混乱が生まれます。
混乱期には、「チームメンバーは同じ目標のために進んでいる仲間である」と再認識し、対立したときも「目標達成のために何をすべきか?」を最優先に考え、行動することが求められます。
目標達成に向けて、各メンバーの役割が確立し、チームの一体感が強くなってくる状況です。混乱期を乗り越えたことで、メンバーの特性や得意・不得意が共有され、適切に役割分担ができるようになっています。
統一期には、自分の役割を全うしながら、チームが目指す姿を明確にし、共有することがポイントになります。
チームが高いパフォーマンスを発揮できている状況です。お互いのパフォーマンスを高め合い、チームで出し得る最高のパフォーマンスによって、高い成果が得られます。
ここで成功体験をすることで、チームの信頼性もアップします。機能期には、高いコミュニケーション量を維持すること、仕事以外の時間も大切にし、できるだけこの期間が継続するように努めます。
目標達成やプロジェクトの終了によって、チームが解散する状況です。散会期には、お互いの功績を称え合ったり、感謝を伝え合ったりすることで、経験を生かしながら、次のプロジェクトへとスムーズに移行できます。
チームビルディングは以下のこと注意したうえで実施しましょう。
・メンバーに一方的に目標やノルマを課さない(チームでどう取り組むかを考えたうえで自発的に目標を設定してもらう)
・変更点の目的や意図を説明する(戦略や方向性に変更がある場合は、なぜそうするのかを理解してもらえるまで丁寧に説明しましょう)
・メンバーの役割を明確にする(チームビルディングの時間を取った後に、具体的にどう行動して欲しいのかを伝える
これらのことに気をつけることで、メンバー全員が協力して目標に向かって頑張っていこうという気持ちになります。
チームビルディングを有効活用するには、実施後の振り返りも重要です。
チームビルディングの振り返り用に開発されたのが「GRIP」というフレームワークです。
GRIPは、「Goals Roles Interpersonal Process」の頭文字を取った造語で、チームビルディングのチェックポイントを示しています。
GRIPのフレームワークを活用することで、チームの取り組みを評価し、改善につなげることができます。それぞれのチェックポイントの内容は、以下の通りです。
1. Goals:目標
チームの目標は明確になっていたか。目標がチーム全体に共有されていたか
2. Roles:役割
メンバー一人ひとりの役割や責任の分担は適切だったか
3. Interpersonal:手順
チーム内の信頼関係は柔軟性があり、オープンであったか
4. Process:関係性
問題解決に向けたメンバー内のコミュニケーションは十分とれていたか
続いて、チームビルディングの具体例をご紹介します。
定期的にチーム内のミーティングを設けることで、報・連・相の漏れを防ぐだけでなく、チームのつながりを実感することもできます。
定期ミーティングの目的は進捗報告や業務のスキルアップなどさまざまなので、何を目的に行うか事前に明確にし、チーム内で共有しましょう。
株式会社ぐるなびの「ウォーキング・ミーティング」
チームビルディングを目的としたオリジナルのミーティングを行う例として、株式会社ぐるなびの「ウォーキング・ミーティング」があります。
このミーティングでは、立場関係なくリラックスしたなかで、活発な意見交換ができることを目的に、社長と社員が歩きながら会議を行います。
実際、「室内会議より話しやすいため、社長(上司)と社員(部下)の壁がなくなり距離が縮まった」「運動を行うことで気分のリフレッシュにもつながり、マイナスな意見より前向きでオリジナリティのある意見が出やすくなった」といった成果が出ているそうです。
参考:ぐるなび、日本経済新聞連載『あすへの話題』ウォーキング・ミーティング
新規事業やプロジェクトのキックオフでは、メンバー間の信頼性を高めるチームビルディングが重要です。
初対面のメンバーが多いときは、自己紹介も兼ねたアイスブレイクを行うのがおすすめです。また事業や業務に関連するビジネスゲームを実践すると、チームの一体感が得られるだけでなく、スキルアップも図れます。
株式会社タニタの「ビジネスゲーム」
株式会社タニタでは、ビジネスゲーム「The 商社」を用いた研修を行っているそうです。このゲームでは、営業力や組織力、メンバーのチーム力向上が期待できます。
メンバーで協力してゲームに取り組むことで、一人ひとりが主体的にチームや組織に関わるようになるなどの効果があったと報告されています。
参考:株式会社プロジェクトデザイン『株式会社タニタ様:「The 商社」での営業力強化・組織力強化 研修』>
レクリエーション性の高いチームビルディングの手法として、社内イベントが挙げられます。
社内イベントには、スポーツ大会や社員旅行、芸術鑑賞会、お花見やクリスマスパーティーといった季節の行事などがあります。年齢や立場が異なるメンバー間の絆を深めたいときにも有効です。
しかし、コロナ禍の今、従来の社内イベントが実施できない状況が続いています。そこで、コロナ禍から始まったオンライン社内イベントをご紹介します。
株式会社シティコミュニケーションズの「街-1グランプリ じゃんけん大会」
2020年に創立25周年を迎えた株式会社シティコミュニケーションズは、記念イベントとして、全社員312名が参加するオンライン社内イベント「街-1グランプリ じゃんけん大会」を実施しています(開催期間は10月~12月)。
Zoomを使い、312名がトーナメント方式でじゃんけんを実施したことで、普段顔を合わせない社員とも1対1での交流ができたそうです。また、オンライン会議に慣れていない社員の練習にもなったとのことです。
参考:株式会社シティコミュニケーションズ プレスリリース『「社内イベント日本一」の会社はコロナ禍でもやります!~会社創立 25 周年記念~全社員 312 名参加の「オンラインじゃんけんトーナメント」開催』>
チームの生産性を高めたいときや組織改革が必要なときは、チームビルディングを主目的に合宿や研修の開催する方法もあります。
職場を離れ、いつもと違う環境でワークショップなどを行うことで、創造力が高まり、新しいアイデアが出やすくなります。また、チームメンバーの新たな一面を知る機会にもなります。
「ウィズコロナ」の生活が長期化すると予想され、ポストコロナ時代はこれまで以上に変化が激しい「ビジネスのVUCA時代」になるといわれています。
これからの時代のビジネスリーダーには、新しいチームを作る力や、メンバーを育成する力が求められます。そこで、チームビルディングを学ぶことが重要です。
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学長は、経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの日本支社長やアジア太平洋地区会長を歴任した大前研一です。
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カリキュラムも、経営学の基礎を学ぶ一般的なMBAで提供される科目だけでなく、実際のビジネス現場で活躍できる実践力が身につく内容であることに重きを置いています。
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過去のビジネスケース資料を学生が読み込んだうえで議論をする一般的なケーススタディとは異なり、ヒントや前例が全くないなかで、市場や競合のリサーチと自社の分析、本質的な問題点の発見、そして問題点に対する有効な戦略と解決策の策定を行わなければなりません。
1週間ごとに新しい企業のお題が出されるため、限られた時間内でリサーチ・分析・戦略策定の全てをこなすというスピード感と高度なタイムマネジメントスキルも必要になります。