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業界ウォッチ 2021/02/09

東京からの人口流出は本当?実際に調べてみました

今回は「東京からの人口流出トレンド」を取り上げてご紹介いたします。

2021年1月29日に、総務省が2020年の住民基本台帳の人口移動報告を公開しました。同報告によると、20年の東京から出ていく人を表す転出者数が約40.2万人と、98年以来の40万人越えとなりました。

これまで新型コロナの感染拡大以降、在宅勤務が定着したことなどの要因から、地価・家賃が高く手狭な都心の住宅から、広いスペースを求めて郊外にシフトしたなどの報道がなされていましたが、実際に統計でも明確にその動きが現れたとも言えそうです。

それでは、2020年は東京からの人口流出は、人口流入よりも多かったのでしょうか。長期的に見て、どの位の流出度合いなのでしょうか。また、東京からの人口流出先は、本当に郊外(東京近郊)なのでしょうか、地方には移動していないのでしょうか。また、東京近郊の県は人口流入が増えているのでしょうか。実際に数字で確認したいと思います。

2020年の東京都への転入超過数は半減

 まず、東京都の転入超過数、転出者数、転入者数の長期推移を見てみます。転入超過数から見ると、1955年は21.8万人の転入超過で60年まで20万人台の転入超過でしたが、そこから減少に転じ、67年には転出超過となり、74年に16.6万人の転出超過となります。

以降転出超過傾向が緩和されますが、85年以降再び転出超過傾向が加速します。97年以降は転入超過で推移していますが、13~19年にかけて7~8万人の転入超過が続いていましたが、昨年20年に3.1万人の転入超過へと落ち込みました。

転出数の推移をみると、55年の30万人から増加トレンドを続け、73年に約80万人の転出となりましたが、以降転出者数は減少トレンドに転じます。2019年(34万人)まで転出者数は減少傾向でしたが、20年に40万人超えへと一気に増加しています。
転入数は、55年の54.6万人から69年の約68万人まで増加トレンドとなっていますが、以降は流入数が減少トレンドに転じています。90年代以降は概ね40万人台で推移しています。

東京からの転出者が多い道府県は?

次に東京都からの転出者が多い上位の道府県(2020年)を見てみます。転出先トップは神奈川県で約9.2万人となっています。次いで埼玉県(約7.5万人)、千葉県(約5.2万人)と首都圏が上位となっています。首都圏以外の転出先となると、大阪(約1.9万人)、愛知県(約1.3万人)、北海道(約1.1万人)、福岡県(約1.1万人)と続きます。

 また、月別で1都3県の転入超過数の推移をみると、東京は20年7月以降転出超過状態が続いていることが分かります。一方、千葉、埼玉、神奈川の各県を見ると、埼玉県は4月以降転入超過の状態が続いており、千葉県は12月以外転入超過、神奈川県は20年7月以外が転入超過となっていることが分かります。

 こうしてみると、昨年は新型コロナの影響で東京から人口流出が進み、主に神奈川県、埼玉県、千葉県といった首都圏の近郊県に移動していることが、統計数値から確認できます。

鼻が利く企業は、いち早くこうした動きを見極め、首都圏郊外でのビジネスを展開するなどの取組をして高業績を上げているようです。今後も、こうした都心部からの人口移動のトレンドをしっかり把握しておけば、様々な事業機会を見出すことができそうですね。

(住民基本台帳人口移動報告)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200523&tstat=000000070001