2021年6月15日

【データから読み解く】世界のEC企業における国別取扱高比較と推移

今回は「世界のEC上位企業」を取り上げてご紹介いたします。

今年の5月上旬に、UNCTAD(国連貿易開発会議)が、新型コロナ禍における世界のEC主要企業の財務諸表を調査分析した結果(推計値含む)を発表しました。同調査では、B2C流通取引総額上位13企業を取り上げ、2018年~2020年の取引総額の推移及び、伸び率を算出しています。

確かに世界的に、新型コロナウイルスの影響でオンラインショッピング・ECの利用が増えていることは容易に想像できます。
それでは、EC事業者別に見ると、どの企業が最も取扱高が大きいのでしょうか。それらの企業はどの国のEC事業者で、どの国の事業者が上位に入っているのでしょうか。また、19年から20年にかけて、どの位取扱高が伸びているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。


2020年BtoC流通取引額はAlibabaがトップ、19-20年伸び率は20.1%、20年は1兆ドルを超える

まず、B2C流通取引総額の上位企業とその推移(2018~2020年)を見てみます。
2020年のトップは、Alibaba(中国)で、流通取引総額1兆1450億ドルとなっています。Alibabaは、18年時点では8660億ドルでしたが、そこから増加トレンドで、20年には1兆ドル超える流通取引総額となっています。19-20年の流通取引総額伸び率は、20.1%となっています。


次いで2位は、Amazon(米国)の5750億ドル(20年)となっています。18年の3440億ドル以降、増加トレンドとなっています。19-20年の伸び率は、38.0%と高い伸びを示しています。
3位はJD.com(京東商城、中国)で、流通取扱総額3790億ドル(20年)、19-20年伸び率は、25.4%となっています。4位はPinduoduo(拼多多、中国)で、流通取扱総額2420億ドル(20年)、19-20年伸び率は65.9%となっています。


5位は、Shopify(カナダ)で、流通取扱総額1200億ドル(20年)、19-20年伸び率は95.6%と高い伸びを示しています。
ちなみに、日本の楽天は10位の流通取扱総額420億ドル(20年)、19-20年伸び率は24.2%となっています。

コロナ禍で、最も流通取扱総額の伸び率(19-20年)が高かったのは、Shopify(カナダ)の95.6%となっています。次いでWalmart(米国)の72.4%、Pinduoduo(中国)の65.9%、Amazon(米国)の38.0%と続きます。
リアル店舗での小売り大手のWalmartがECで成果を伸ばしている様子が見て取れます。

コロナ禍でマイナスとなったのは配車サービス、旅行関係サービスのEC

一方、流通取扱総額がコロナ禍でマイナスとなったEC事業者もあり、上位企業13社のうち最もマイナスが大きかったのはExpedia(米国)で、-65.9%となっています。次いでBooking Holdings(米国)の-63.3%、Airbnb(米国)の-37.1%、Uber(米国)の-10.9%となっています。コロナ禍の伸び率で見ると、配車や旅行関係事業のECの落ち込みが大きいことが分かります。

こうしてみると、流通取引総額規模の大きいEC事業者トップ5に中国企業が3社入っており、中国のECビジネスの規模感、成長度合いのすごさが良く分かります。
1位のAlibaba(中国)と2位のAmazonの流通取引総額を比較すると2倍近い開きがあることが分かります。Alibabaは、日本のトップECプレイヤーである楽天とは比べものにならない規模であることも分かります。

ECビジネス、越境ECなどを考えるとしたら、どの国のEC事業者のプラットフォームの利用を検討するべきか、数字を見ると非常に分かりやすい結果になっていると言えそうですね。

出典
・UNCTAD “Estimates of global e-commerce 2019 and preliminary assessment of covid-19 impact on online retail 2020”
・JETROビジネス短信「UNCTAD、新型コロナ禍で主要国のEC販売増加と発表」(2021年05月10日)